【研究部門】 認知症

認知症

1. 基礎研究

 アルツハイマー病ではアミロイドβ(Aβ)、タウといった異常蛋白質の重合、蓄積がニューロンを障害し、認知症の発症に寄与すると考えられています。当研究室では、大脳皮質の血管周囲腔における物質搬送の動態をマウスを用いて二光子顕微鏡で観察を行い、大脳へのデキストランの拡散、Aβの血管周囲腔への動向を報告してきました(Int J Mol Sci 2022, Int J Mol Sci 2024)。

認知症

  図. TIE2/GFPマウスにおけるアミロイドβの血管周囲腔での搬出、蓄積




2. アルツハイマー病のPET研究

 アルツハイマー病の原因として、老人斑を構成するアミロイドβ蛋白、神経原線維変化で認められるタウ蛋白が重視されています。アミロイド/タウPETは脳内に蓄積したアミロイド/タウを可視化する技術として近年注目されています。我々は2006年からアミロイドPETの研究を行っており、これまでアミロイド陰性認知症や遺伝性アルツハイマー病(Osaka変異)の研究で成果を上げてきました。

 アミロイドPETこれまでに我々はアミロイドPETを用いてアミロイド蓄積と加齢の関係を検討し、健常者のアミロイド陽性率は年齢と共に上昇する傾向にありましたが、臨床的にアルツハイマー型認知症と診断された患者では60代をピークに陽性率は減少し、80代では陽性率は50%であったことを報告しています(JAMA Neurol 2022)。またタウPETでは加齢におけるタウの蓄積と非アルツハイマー型認知症におけるタウの分布、アルツハイマー型認知症におけるタウ蓄積の進展、遺伝性アルツハイマー病におけるタウの蓄積などを報告してきました(JAPD 2017, Open Bio Eng J 2019, Neurol Clin Neurosci 2019, In J Mol Sci 2020)。

 これらPETを用いたアミロイドやタウのイメージングは若年性認知症などの早期診断や近い将来実用化される抗アミロイドβ抗体薬の効果判定などにも活用されることが期待されており、現在我々は非定型認知症や若年性認知症をに対するPETイメージング研究を行っています。

認知症

図. OSAKA変異、孤発性アルツハイマー病、健常者のタウPET。
A. OSAKA変異では頭頂葉から側頭葉にタウの顕著な集積を認める。
B. C. 早期(B)および進行期(C)の孤発型アルツハイマー病では、進行に伴いタウの集積が増加する。
D. 健常者ではタウの集積を認めない。


認知症

図. アルツハイマー病のタウPET画像。症状進行に随伴してタウ集積部位が広がる。


認知症

図. 後方皮質萎縮症Posterior Cortical Atrophy(a-c)、前頭側頭型認知症(d-f)、ロゴペニック型進行性失語症(g-i) および健忘型(j-l)アルツハイマー病のタウPET(a, d, g, j), アミロイドPET(b, e, h, k), FDG-PET(c, f, i, l)。
アミロイドβは病型によらず陽性であるが、非典型アルツハイマー病では臨床症状に特徴的な部位でタウの集積が高い。




3. レカネマブ治療

 アルツハイマー病では抗アミロイド抗体薬であるレカネマブが臨床投与可能となりました。
当科では日本で最も早く薬剤投与を開始しました。今後、薬剤の効果、安全性を研究していきます。




4. その他の認知症研究

 国内多施設でのバイオマーカー研究であるMABB研究、パーキンソン病における認知症の研究、若年性認知症のレジストリー研究、レビー小体型認知症の視覚研究、不安スコアによるBPSEの評価についての研究など多くの研究を主導し、参加しています。