産学官民共創推進本部長挨拶
2022年4月に大阪市立大学と大阪府立大学が統合し、12の学部・学域、15の研究科を有する日本最大の公立総合大学が誕生しました。大阪府・市・公立大学法人大阪がとりまとめた「新大学基本構想(令和2年7月改訂)」には、「都市シンクタンク機能」による都市課題の解決と「技術インキュベーション機能」による産業競争力の強化が明記されており、大阪公立大学には大阪の発展を牽引する知の拠点となることが求められています。大学はこれを受けて地域~地球規模の多様な課題の解決と未来社会の創造に貢献することを謳った「大阪公立大学ビジョン2030~大阪公立大学の将来構想~」を公表しました。その中でキャンパスごとに特徴を有する共創リビングラボを配置してこれらを有機的に稼働させ、「総合知」と多様な人材の「共創」による課題探索・解決機能を強化・発展させる「イノベーションアカデミー(ia)事業」を通して、独創的・先進的な研究の活性化を目指すとともに産学官民共創リビングラボ機能によるイノベーションエコシステムの構築を推進することを宣言しています。
大阪は、日本国土の0.5%の面積に総人口の7%(約880万人)が居住し、大阪市への昼間の流入人口が100万人を超える関西圏の中核都市かつ、世界的観光地の一つでもあり、その持続的発展性の探求には、地域に密着した現状課題の解決はもとより、気候変動や巨大地震・津波等の災害、人口減少・人口構成変化に伴う中長期的な国内外の情勢の変化に即した将来社会を描出することが必要です。大阪公立大学は、このような様々なレベル・階層におけるステークホルダーを対象としたマルチスケールシンクタンク機能を確立し、住民の高いQOL(Quality of Life)を実現するwell-being 都市を創造する拠点となることを目的とした大学改革を強力に推進しています。その一つとして、2024年4月、「産学官民共創推進本部」が設立され、未来都市創成部門と技術移転推進部門による産学官民共創の推進と研究成果の社会実装の加速化を推進する教職協働体制を構築するとともに、自治体等との共創による地域課題の解決から都市構想の提言を推進する体制が強化されました。産学官そして住民の皆様とも連携し、未来社会のあるべき姿を議論するとともにバックキャストで、課題設定~プロジェクト創出~社会実装までの多様な階層の事業が推進されています。
この様な取り組みが評価され、地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージの3つの外部資金に採択され(地域中核大学イノベーション創出環境強化事業、地域中核・特色ある研究大学の連携による産学官連携・共同研究の施設整備事業、そして地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS))、ia事業をベースにした大学改革が進んでいます。
今後より一層、総合知を活かし、より大きな共創へと発展させるべく、産学官民共創推進本部がこれらの事業の推進母体となり、産学連携、知財をベースとした技術移転の推進やスタートアップ創出・支援、イノベーションアカデミー事業を進め、都市シンクタンク機能・技術インキュベーション機能の実現に取り組みます。
大阪公立大学が社会から信頼され、知の拠点として都市・社会のモデルを発信する未来アジアの都市シンクタンク機能を果たせるよう、取り組んでまいります。今後とも大阪公立大学へのご理解・ご支援賜りますようお願い申し上げます。
産学官民共創推進本部長
藤村 紀文