学術研究推進本部長挨拶

学術研究推進本部長 櫻木 弘之

本年2022年4月、大阪市立大学と大阪府立大学が統合し、日本最大の公立大学である「大阪公立大学」が開学いたしました。

前身の両大学は、共に明治初年、市井の精神に発した、日本初の公立の高等教育機関に源流を持ち、以来140余年にわたり、社会の牽引役となる有為な人材を数多く世に輩出してまいりました。その卒業生は、大阪をはじめとする地域社会はもとより、日本および世界の様々な領域で活躍し、現代社会を支え牽引する原動力として社会に大きく貢献しております。

この高度人材の育成を可能にしてきたのは、そこにかける歴代の大学教職員の不断の努力と情熱に加え、自主独立・自由進取の気風のもと、人類普遍の真理の探究たる学問創造の場を醸成し、研究者の自由な発想のもと、個性と多様性とを重視した、国際水準の高度な学術研究を推進する、という大学の確固たる姿勢と信念です。これを通じて、学術、文化、芸術の振興・発展に貢献すると共に、地域社会や産業界とも連携し、研究成果を産業振興や社会課題解決に活かし、また、最先端の医学研究と先進医療の提供を通じた健康社会の増進にも貢献してまいりました。

新生・大阪公立大学は、長い伝統と異なる研究領域に強みをもつ、全くカラーの異なる二つの総合大学が統合して生まれた、全く新しい形の高度研究型の公立総合大学であり、このような大規模な大学統合は日本でも前例がありません。研究領域が大幅に拡大し、研究者の層も格段に充実した新大学の創設は、新たな挑戦であり、大きなチャンスでもあります。

大阪公立大学では、統合を大きなチャンスととらえ、大学を新たな「知の創造拠点」として成長・発展し、その成果を社会に還元するための仕組みを整備してまいります。まず学長の直下に「学術研究推進本部」を置き、本部長を中心とする「研究戦略室」が司令塔となって全体を俯瞰し、戦略的に研究を推進する体制をとります。研究戦略室のもとに、実動部隊として、基礎学術研究の高度化・国際化と研究力強化および研究人材育成を担う「学術研究推進部門」と、総合大学の強みを活かして分野横断的に総合知を結集し、産学官共創による新たなイノベーション創出をめざす「協創研究推進部門」の二部門を置き、これらが連携して新たな「知の創造」と社会還元、それを担う研究人材育成、それに不可欠な科研費や共同研究・受託研究を通じた外部研究資金の獲得増、といった好循環を可能とする推進体制を整備してまいります。これらの推進体制を支える支援組織としての「URA*センター」、「知財マネジメントオフィス」、「研究基盤共用センター」や、研究人材育成・支援を行う「女性研究者支援室」および「博士人材育成支援室」などを設置いたします。

高度な基礎研究力の強化を基盤に、総合大学の強みを活かして「総合知」を結集し、産学官共創研究を推進する体制を強化することにより、民間企業や国・自治体等と連携し、イノベーション創出や社会課題解決へ向けた共同・受託研究に取組み、大学の研究成果を社会へ還元すると共に、それを通じた高度人材育成により、公立大学としての使命に応えてまいりたいと存じます。

関係各位におかれましては、これからも大阪公立大学の学術研究推進へのご理解・ご支援を賜りますようお願い申し上げます。

学術研究推進本部長
櫻木 弘之
(研究戦略担当理事・副学長)
*URA: University Research Administrators