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植物園初!大阪公立大学附属植物園が文部科学省「共同利用・共同研究拠点」に認定

2022年4月4日

  • 研究
  • プレスリリース

2022年4月1日、大阪公立大学附属植物園は、植物園を有する大学などの研究機関としてはじめて、文部科学省が推進する「共同利用・共同研究拠点」に認定されました。

「共同利用・共同研究拠点」とは2008年7月に国公私立大学を通じたシステムとして、新たに文部科学大臣による認定制度となったもので、広範な研究分野にわたる共同利用・共同研究拠点の形成など、学術研究の基盤強化と新たな学術研究の展開が期待されています。

1. 共同利用・共同研究拠点化により期待される効果:植物保全の知が集積し、民学が連携した植物保全が推進される

    これまで共同利用・共同研究拠点に認定された植物園はなく、今回、本園が初めて認定されました。共同利用・共同研究拠点制度は、協働の場を築くために最適な制度であり、植物保全研究における知の集積が推進されます。特に、古植物学(化石植物の研究)、多様性植物学、農学が連携した保全研究は例を見ず、我が国発の新たな学問分野の創出につながります。

    さらに、本園を利用する研究者と地元関係者との橋渡しも担い、学術研究における民学連携のモデルケースを目指します。

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    教員と職員による絶滅危惧植物
    保全活動:育成状況の確認

    2. 共同利用・共同研究拠点に申請した背景と目的:「絶滅の科学」を持続可能な社会の実現に役立てる

      現在、世界の植物の約20%が絶滅の危機に瀕している中、本園は1950年に発足して以降、我が国における化石植物の研究の中核を担ってきました。例えば、生きた化石として有名なメタセコイアの命名は、本園の3代目園長であった故 三木 茂博士によるものです。本園では、過去に大阪で繁栄したにも関わらず現在は絶滅している植物を植栽し、「なぜ絶滅が起きるのか?」を追求するとともに、日本植物園協会の植物多様性保全拠点園として、主に西日本に生育する絶滅危惧植物を中心に、収集・育成および研究を行なっています。このように本園はまさに、過去と現在を網羅した「絶滅の科学」の中心地となっています。

      本園で展開してきた絶滅の科学は、「植物多様性がこの先どのように変化するのか?」を予想するのに役立つ可能性があります。さらに、この4月から大阪市立大学と大阪府立大学が統合して大阪公立大学が開学したことにより、農学系研究者との緊密な連携が可能になります。そこで本園は、「過去に学び未来を拓く植物多様性保全研究・教育拠点」として、共同利用・共同研究拠点に申請し、絶滅の科学を持続可能な社会の実現に役立てる研究を推進しようと考えました。

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      植物園に復元された「絶滅植物の森」

      3. 共同利用・共同研究拠点としての決意

        保全対象となる植物は、国内だけでも膨大な数があり、本園だけで保全を進められるものではありません。共同利用・共同研究拠点活動では、他の植物園との研究連携ネットワークを強化し、それぞれの植物園の得意分野を活かして保全活動を展開していきます。その中で本園は、保全研究のコーディネーターとしての役割を担う所存です。
        得られた成果は、今後の普及活動にも活用し、次世代の育成にも努めてまいります。前述の通り、保全活動の推進には地元の皆様の協力が必要です。今後の本園の活動に、ご協力を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

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        本園が保有する絶滅危惧植物の一部

        プレスリリース全文 (845.7KB)

        本件に関する問い合わせ先

        大阪公立大学附属植物園 担当:中野
        Tel:072-891-2059(9時~17時)
        Fax:072-891-2101
        Eメール:b-garden[at]sci.osaka-cu.ac.jp [at]を@に変更してください。

        取材に関する問い合わせ先

        広報課
        Tel:06-6605-3411
        Eメール:t-koho[at]ado.osaka-cu.ac.jp [at]を@に変更してください。