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本学 工学研究科 内藤裕義特任教授(大阪府立大学 名誉教授)が「2022 SID Slottow-Owaki Prize」を受賞!

2022年6月1日

  • 受賞

工学研究科 内藤 裕義特任教授(大阪府立大学 名誉教授)がSociety for Information Display(SID米国情報表示学会)の「SLOTTOW-OWAKI PRIZE」を受賞しました。

「SLOTTOW-OWAKI PRIZE」はディスプレイ分野における教育・トレーニングに顕著な貢献があった人に贈られる賞です。

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受賞対象となった研究内容

ディスプレイデバイスに関連する分野では、ネマティック液晶を用いた液晶TVおよび有機EL TV(有機ELは有機発光ダイオード、OLED、とも呼ばれます)などにおける基礎物性評価を行ってきました。液晶TVに用いるネマティック液晶中の不純物イオンの挙動(生成、伝導、配向膜への吸着・脱離過程)の評価法、および、過渡電流からの回転粘性率の評価法を開発しました。前者は液晶TVの表示特性を劣化させる過程で、後者はTVの応答速度を決めている物理量です。特に、負の誘電率異方性を有するネマティック液晶では全てのLeslie粘性係数を決定でき、この原理を搭載した装置が市販されました。有機EL TVでは、インピーダンス分光法によるOLEDの2分子再結合や局在準位など、有機トランジスタの界面状態密度、ゲート絶縁膜の誘電物性、接触抵抗などの評価法を開発しました。このような評価法から得られる電子物性は、OLED、有機トランジスタの劣化要因の解明、あるいは、これらデバイスの構造設計、構造最適化に有用な知見となります。本賞の性格上、ひとつの業績で受賞したわけではありませんので概要だけになりましたが、もう少し詳しい研究内容の変遷は日本画像学会誌(https://doi.org/10.11370/isj.57.15)に執筆しました。

受賞者のコメント

工学研究科 特任教授 内藤 裕義

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SIDは、1962年に設立された、世界最大の電子ディスプレイ装置に関する学会で、個人に授与される最高賞には、Karl Ferdinand Braun Prize、Jan Rajchman Prize、Otto Schade Prize、Slottow-Owaki Prizeの4賞があります。大学に奉職する者にとって、研究活動を通じた教育を評価いただいたことは、この上ない喜びです。推薦いただきましたJapan Chapterの方々をはじめ、関係各位に厚く御礼申し上げます。本賞の受賞に恵まれたのは、研究室に在籍した学生諸君、ディスプレイ関連産業の方々との共同研究の賜物です。また、平素より研究活動を支えて下さいました研究室のスタッフ、分子エレクトロニックデバイス研究所の方々に感謝いたします。

小学校低学年のころは化学に興味がありましたが、小学校3年生でアマチュア無線に出会ってからは大学では電気系に進もうと固く心に決めていました。今から思うと電子工学を専門としながら化学との複合領域である有機エレクトロニクス(私が若いころは新しい分野でした)を選択したのは自然な流れだったと思います。飽きっぽい性格のため色々なことを研究対象としてきましたが、振り返ってみるとディスプレイデバイス物理として括ることができる分野で研究活動を行っていたことが今回の受賞につながったと思います。
本年3月末日で定年退職しましたが、大阪公立大学でも上記のような研究を続けています。私たちの研究活動に協力いただける学生さんを募りたいと思っています。関心のある方は下記の連絡先にメールで問い合わせてください。

関連情報
SID Slottow-Owaki Prize 受賞者一覧記事
https://sid.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/msid.1283 

在職中の研究室HP:大阪府立大学大学院工学研究科 電子・数物系専攻 電子物理工学分野 内藤裕義研究室
http://pe3.pe.osakafu-u.ac.jp/ 

大阪公立大学大学院工学研究科 物質化学生命系専攻 応用化学分野 物性有機化学研究グループ
https://www.omu.ac.jp/eng/apchem_05/ 




お問い合わせ

大阪公立大学大学院 工学研究科
特任教授 内藤 裕義
Tel 072-252-6379
h.naito[at]omu.ac.jp  [at]を@に変更してください。

該当するSDGs

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