お知らせ

模擬患者ボランティア研修を開催! ー医学部医学科に続き、看護学部も模擬患者との演習を開始ー

2022年8月2日

  • 教育
  • 学生の活動

7月12日(火)、阿倍野キャンパスにて模擬患者ボランティアの勉強会がありました。
「模擬患者」というのは、医学部生の実習や共用試験のOSCE(※1)など、医療面接教育で問診や診察の患者役を担う方々のことです。医療面接時の相手役となる模擬患者によって試験の際に不公平が生じることがないよう、勉強会や研修を行いシナリオに沿って過不足なく演じます。本学では、10年前から「あべのSP本舗(※2)(大阪公立大学医学部模擬患者の会)」の皆さまにご協力いただいています。
「あべのSP本舗」は、現在40名ほどのボランティアの方々が所属している団体です。毎月勉強会を実施しており、この日も本附属病院の研修医を交えての研修が開催されていました。
4~5人のグループに分かれ、研修医の方が医学生役、「あべのSP本舗」の皆さまが患者役を演じるロールプレイを行った後、患者役としての良し悪しを話し合います。なごやかながらも、活発なディスカッションが行われました。

翌13日(水)には、病院実習の経験もある看護学部4年の7名と「あべのSP本舗」の皆さまとの演習がありました。今年度から大阪公立大学では看護学部生も医学部生と同じように、模擬患者との演習が開始されます。2つのグループに分かれ、看護学生が患者の病状を聞き看護師へ報告するというロールプレイを行いました。真に迫った「あべのSP本舗」の皆さまの演技に、病院の待合室にいるかのような緊張感が漂います。看護学生の皆さまも本番さながら、丁寧に問診をし、その後、よかったところ、悪かったところを発表しあい、さらに患者さんに寄り添う看護ができるように、気づいたことを共有しました。看護学生からは、「実際の患者様と接しているみたい」「病院実習経験のない2年生が今度この授業を受けるが、きっと良い経験になるだろう」といった声が聞こえました。

多くの協力者の皆さまのおかげで未来の良医・いい看護師が育まれます。


※1:客観的臨床能力試験のこと。態度・技能を問う試験。臨床実習に必要とされる試験の一つ。
※2:「あべのSP本舗」は2022年4月に公益社団法人医療系大学間共用試験実施評価機構より認定模擬患者養成団体として認定。SPにはSimulated Patient(模擬患者)、Standardized Patient(標準模擬患者)の2種類の意味がある。
(注意)全国には他にも模擬患者養成組織はありますが、現在、あべのSP本舗では模擬患者ボランティアの募集はしておりません。

今回の研修に初参加した研修医のコメント

大阪公立大学医学部附属病院 藤井 諒太 初期研修医(2年)

学生の時は試験勉強として問診の順序とか聞かなければいけないことをアウトプットできるように意識してテストを受けました。卒業して外来の問診をするとき、患者さんからいろいろ聞かなければならないことがありますが、緊張感を持ってできていると思っていました。でも、今回の研修に参加して初心を思い出し、限られた短い時間ではありますが、細かいところまで掘り下げて問診できるようさらに改善をして診療に臨みます。

あべのSP本舗 メンバーのコメント

種子島 博(たねがしま ひろし)様

7年ほどこの研修に参加しています。定年になりボランティアをしたいと思ったときに同級生から声がけされました。とてもいい経験で、自己啓発にもプラスになります。
大阪公立大学の学生さんは総じてまじめな学生さんたちで、コミュニケーション能力向上のこういった授業は毎年成果を上げつつあると思っております。

辻 恵(つじ めぐむ)様

知り合いから参加してみないかと誘いを受け、ちょうど仕事も定年して時間に余裕がありましたし、何かお役に立つことができればと思いました。大阪公立大学の医学部生さんは非常に上品ないい育ち方をされているなと感じました。
この研修に参加して今年5年目になります。顔なじみの方も増えました。お役に立てることももちろんですが、月に一度、皆さんの顔を見るのも楽しみです。

教員のコメント

大学院医学研究科 総合医学教育学 幕内 安弥子 医員

あべのSP本舗は、おかげさまで10周年を迎えました。今では医学部医学科の2年生・4年生・6年生のタイミングで、模擬患者さんの参加する実習や試験を実施できるまでに成長しました。医学生はもちろん、研修会に医学生役として参加する研修医にとっても良い学びになっており、今後も成長し続けていきたいと思います。

大学院看護学研究科 先進ケア科学領域 ヒューマンケア科学 冨澤 理恵 講師

看護学部では今年度初めて、Simulated Patient(模擬患者)としてご協力いただき、「患者が体験する症状を理解する」ことをテーマに演習を実施しました。新型コロナウイルス感染症の影響によって実習機会の制限もあり、この演習が学内学習と臨床学習を結ぶよう、貴重な経験を活かしていきたいと思います。

医学科長・教務委員長
卒後臨床研修センター長 
大学院医学研究科 総合医学教育学 首藤 太一 教授

医学部新入生に「人生でお話しした最高齢の人は誰か?」と問いますと、「高校のクラブの顧問の先生で、65歳です」と返ってくる時代です。 そんな彼らに「あべのSP本舗」の模擬患者によるトレーニングは必須です。また模擬患者養成に研修医を登用していることも「あべのSP本舗」独自の取り組みです。自身が医師となるまでに、多くの方の「おかげ」があったんだと気づくことが、彼らの更なる成長につながるからです。


総合医学教育学 幕内 委員

総合医学教育学 幕内医員

研修の様子

研修の様子

研修のロールプレイ

研修のロールプレイ

看護学部の演習の様子

看護学部の演習の様子

該当するSDGs

  • SDGs03
  • SDGs04