お知らせ

令和5年 学長による年頭の挨拶

2023年1月5日

  • 学長室

新年、明けましておめでとうございます。

令和5年、大阪公立大学がスタートして初めての新年となりますが、穏やかな三が日となりました。昨年は皆さまにとってどのような1年だったでしょうか。

例年、清水寺で発表される昨年の漢字は「戦」(せん、いくさ)という字でした。コロナ禍が収まりを見せない中、ウクライナでの戦争が始まり、私たちの暮らしや生活も大きな影響を受けています。明るい話題が少なかった中で、スポーツが私たちに希望を与えてくれました。私をワクワクとさせてくれたのは、サッカーワールドカップでの日本代表と、一昨年に続くメジャーリーグ大谷翔平選手の、それぞれの活躍です。

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サッカー日本代表の活躍については、海外のリーグでプレーする選手が以前に比べると大幅に増え、技術的にも精神的にも自信をもってワールドカップという大舞台での試合に臨めたことが大きいと思います。大学の教育研究のレベルアップにも国際化は必須です。少なくとも十年後には、欧米、アジア、アフリカの皆さんがキャンパス内で意見交換していることが常態化し、本学の研究者が当たり前のように海外研究室と交流することを目指したいと思っています。

大谷選手については、MVPを獲得した一昨年を上回る大活躍で、メジャーリーグにおけるスーパースターの地位を確固たるものにしました。リアル二刀流を超一流レベルで2年間維持することは並大抵のことではなく、一般人の想像を遙かに越える努力の積み重ねがあってのことだと思います。「知」の拠点を目指し、人材育成を使命とする大学にとっての醍醐味は、知的活動における大谷翔平、つまりワールドクラス、ノーベル賞クラスの人材を輩出することではないかと思います。そのためには、自分自身も含め、私たち自身が自らに一層の磨きをかけて学生の皆さんと向き合っていきたいと考えます。

さて、学長として昨年を振り返ると、4月に大阪公立大学の開学を果たし、4,000人を越える新入生を迎え入れ、新たな教育研究活動を無事滑り出せたことが、やはり一番印象的で、かつ、ほっとしているところです。教職員の皆さま一人一人の献身的なご尽力のおかげで、歴史的な大学統合を実現し、スタートを切ることが出来ました。心よりお礼申し上げます。この規模での2つの公立大学の統合は、これまでに誰も経験したことのない大きな事業でしたが、一方でまだまだ形式的なところが多々あり、最適化はこれからです。初年度は、旧大学でのそれぞれの取り組みをそのまま継承しているところが多い中、本年はますますの「良いとこどり」を進めていかなければならないと思っています。

また、学生から見ると、現状3つの大学が併存しています。私は昨年、大阪公立大学の学長予定者として、府大・市大両大学の皆さんに、統合に向けて何よりも大切なことは、まずは両大学の構成員の「調和」だと申し上げました。3大学間に存在する垣根をまずは無くしていくこと、部局間、また法人と大学間に存在する垣根を低くしていくことが、学長としての私の使命と考えています。コロナ禍で思うに任せなかった教職員や学生のキャンパス間交流を進め、部局間や法人・大学間の相互理解を深め、大阪公立大学の10年後、20年後の理想の姿を話し合っていきたいと思います。文化や歴史の異なる総合大学同士の統合を何とか実現した直後で、まだまだ課題は山積していますが、皆さまと共に一つずつ乗り越え、良くしていきたいと思います。教職員の皆さまには、ぜひ「調和」のための範となって頂きたいと心より願っています。

本日は、年頭に当たり、教職員の皆さまに特にお願いしたい3つのことを述べさせて頂きます。
一つ目は「全員広報」、二つ目は「学生ファースト」、三つ目は「個人の研究に注力」の3つです。

まず「全員広報」ですが、旧府大では全員広報宣言というキャンペーンを行ったことがあります。今こそ全教職員一丸となって、皆さま一人一人に「大阪公立大学」と「Osaka Metropolitan University」を広めるための広報パーソンとなって頂くことをお願いしたいと思います。大阪公立大学の名前が全国的にはまだあまり知られていませんので、まずは学会やセミナー等の活動で、意識的に新大学の名称をPRして頂ければと思います。特に「Osaka Metropolitan University」の国際的知名度がまだありませんので、国際会議等の機会には、事あるごとに売り込みをお願いしたいと思います。

二つ目の「学生ファースト」につきましては、3大学の併存中、大阪府立大学と大阪市立大学の学生が卒業まで不安なく学べることを意識し、学生と接して頂きたいということを改めてお願いいたします。特に授業や研究指導では、すべての学生に寄り添い進めることが重要だと考えています。また、今実現されている、3大学の学生が混在して複数のキャンパスを自由に行き来できる環境をさらに伸ばせば、他大学にない画期的な交流の場を生み出せるのではないかと思います。皆さまには、教育、研究、社会貢献、課外活動等の現場で、多様であるが故の新しい可能性を、「学生ファースト」によって引き出して頂けないかと期待いたします。

三つ目の「個人の研究に注力」は、文科省の科研費の応募数が減少していることに対する私の危機感からこのお願いとなっています。一昨年、科学技術イノベーション基本法が改正されて、「総合知」が力強く謳われるようになり、イノベーションを生み出すのに人文・社会科学を含めたどの学問領域も重要であることが強く認識されるようになりました。科研費は個人の自由な発想で研究を進めていくという趣旨から、研究分野を問わず大学に籍をおく研究者として必須であると思います。少なくとも私は40年間、そのように思って科研費を最重要視し、応募し続けてきました。皆さまには、ぜひご理解頂き、個人研究のあり方を再度チェックして頂けますでしょうか。国プロや企業様との共同研究も、全てその原点は個人研究の科研費であると信じていますので、どうか宜しくお願いいたします。

最後に、1年前には全く想定していなかった戦争が始まり、世界が大きく翻弄され変化する中、国の動きも変わろうとしています。このタイミングの中で開学した本学には大きな使命とチャンスがあり、国の科学技術イノベーション政策を注視しながら、産業界や大阪府市との共創を着実に進めていくことが、今後大変重要になってくると考えています。昨年、本格的にその構想を内外に示した「イノベーションアカデミー」事業はまさにその中心となるもので、「共創」と「総合知」で、地域や世界の課題を解決するためのネットワーク型のイノベーションエコシステム拠点を各キャンパスに形成していこうというものです。「大阪の知の拠点」として、また「高度研究型大学」として発展していくために立ち上げたこの事業で、人材育成を中心とする大学にしかできない役割を果たしていきたいと思います。地域の皆さまの幸せに貢献できる大学だからこそグローバルに通用する、世界で認められる大学だからこそ、地域の皆さまにも信頼される、そういった好循環を、公立大学の強みを活かして、多様な学生を巻き込み生み出していく、そのためには、すべての教職員の皆さまのご協力が不可欠です。大阪公立大学の10年後、20年後、そして50年後の姿を描くのは、特に若手の皆さんの双肩にかかっています。「大学人としてこんな夢のある、素敵な瞬間に立ち会える」と前向きに取り組んで頂けますでしょうか。一丸となって、新しい公立大学の歴史をつくっていきましょう。

今年はうさぎ年。皆さまにとって、この一年、希望に満ちた、飛躍の年となることを祈念して、年頭のご挨拶とさせて頂きます。

2023(令和5)年1月5日
学長 辰巳砂 昌弘