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見間違い&勘違いも論理的に解明!? 連続的な認知処理における数知覚のメカニズムを実証

2023年1月12日

  • 研究
  • 現代システム科学研究科
  • プレスリリース

本研究のポイント

◇たくさんの物体の個数を推定するプロセスは 「知覚情報処理」や「認知情報処理」などからなるが、認知情報処理の過程で
系列依存性※1 が発生することを実証
◇系列依存性※1 は、直前の刺激の個数より、直前に自分が行った回答の影響を強く受けることを明らかに

(用語解説)
※1 系列依存性:現在の知覚体験が、過去の知覚体験に近くなる現象。変化する世界の中で生物が行動を選択する際に適応的に働くと 考えられている。

概要

大阪公立大学 現代システム科学研究科 牧岡 省吾教授と森本 優洸聖大学院生(大阪府立大学大学院 人間社会システム科学研究科 博士後期課程2年)らの研究グループは、以前の知覚がその後の知覚に影響を及ぼす「系列依存性」(Serial dependence)のメカニズムを明らかにするために、硬貨を使った数推定の実験を実施。「系列依存性」は知覚体験のバイアスの一つとして研究が進められていますが、刺激と反応の優位性、また知覚と認知のどちら過程で発生するかについては明らかになっていませんでした。
 8枚から32枚の1円玉、5円玉、10円玉を画面に表示し、表示された枚数(枚数推定)と金額(金額推定)を答える実験を実施(参加者24人 各課題を250試行実施)。単回帰分析と重回帰分析を行った結果、両課題において系列依存性を確認しました。また系列依存性には直前の提示刺激ではなく、直前の回答反応が最も大きく影響することを確認しました。以上の二点から系列依存性の発生には知覚に比べてより高次な認知処理の影響が大きいことを明らかにしました。

                                 

                  実験のイメージ

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本研究成果は、国際科学誌「Scientific Reports」にオンライン掲載されました。

森本 優洸聖大学院生からのコメント

硬貨を刺激に使うのは初めてでしたが枚数、金額ともに予想以上に課題パフォーマンスがよく驚きました。系列依存性は当たり前に存在しそうな現象ですが、当たり前を科学的理論に基づいて説明できるよう研究に励んでいます。

 

掲載紙情報

雑誌名  :

Scientific Reports
論 文 名: Serial dependence in estimates of the monetary value of coins
著     者: Yukihiro Morimoto & Shogo Makioka
掲載URL: https://doi.org/10.1038/s41598-022-24236-z
掲載日 : 2022年11月23日

プレスリリース全文 (361.7KB)

資金情報

本研究は、JST 次世代研究者挑戦的研究プログラム JPMJSP2139 の支援を受けたものです。

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学 現代システム科学研究科
教授 牧岡 省吾(まきおか しょうご)

TEL072-254-9187
E-mailmakioka [at]omu.ac.jp  [at]を@に変更してください

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:田中
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp [at]を@に変更してください

 

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