お知らせ

令和6年 学長による年頭のごあいさつ

2024年1月10日

  • 学長室

news_2401gg

皆さま 新年、明けましておめでとうございます。

大阪公立大学が開学して2回目の新年を迎えました。今年は正月早々、能登半島での大地震と羽田での大きな航空機事故がありました。亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された皆さま、影響を受けられた皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。

本学の教職員の皆さまはどのような年末年始を過ごされましたでしょうか。私は幸い4年ぶりに年末スキー、正月は親族とのんびり過ごすというコロナ前のパターンに戻り、ゆっくりと鋭気を養うことができました。

昨年は皆さまにとってどのような年だったでしょうか。漸くコロナの脅威が落ち着き、次第に4年前の日常に戻ってきた一年でした。人がリアルに集まる学会等の集会も普通に行われるようになりました。しかし一方で世界に目を向けると、ウクライナにおける戦闘状態が長期化する中、イスラエルとイスラム組織ハマスによる紛争が勃発し、平和な日常が奪われている地域が拡大しています。

日本においても明るい話題が必ずしも多くなかった印象が強いですが、そのような中で、昨年も野球を中心にスポーツの話題が私たちを元気づけてくれました。私の中でのベストスリーは、春のWBCでの日本の優勝、メジャーリーグでの大谷選手の満票MVPの活躍、そして阪神タイガース38年ぶりの日本一です。今回このいずれのケースもフロックなどではなく、個人においても組織においても、粘り強い努力と周到で的確な準備に裏打ちされた、十分想定・納得できる結果と私は思います。スポーツにおける最新の情報・データ・科学技術を駆使して勝ち取ったところも共通しています。スポーツにおいても総合知が重要ということを示している事例とも言えます。私たち大学の世界でも、個人にあっては成すべきことには努力を惜しまず、組織にあっては力の出し切れる体制を作って一丸となることを、今年は是非実践していければと思います。

個人的には私にとって、昨年は大変良い年でした。10年間取り組んできた全固体電池に関する国の研究プロジェクトのチームリーダーを何とか全うしてS評価を戴き、新しい国プロに繋ぐことができました。また昨年11月には、念願がかない、本学の前身校の卒業生である作家、東野圭吾さんと直接会って親しく会話を交わす機会を持つことができました。

学長として、また大学としても昨年はいくつか大変喜ばしいことがありました。最も嬉しかったことは年末に、日本学術振興会が基金管理する「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業」に採択されたことです。応募69大学中12採択大学に入ったということもありますが、向こう5年間で50億円以上の支援を国から受けて、大学改革を推し進めていく大きな足ががりを得たことと、新大学が地域と強く結びついて、そこから世界と繋がってゆく大型公立総合大学として広く認められたことが大変大きいと思っています。
この事業の採択に至るまでに、3月には関連事業である文科省の「地域中核・特色ある研究大学の連携による産学官連携・共同研究の施設整備事業」、および10月には内閣府の「地域中核大学イノベーション創出環境強化事業」に相次いで採択されたことも、今後の大学が発展していく上で極めて重要で嬉しい出来事でした。
本学がこの基金事業で実現を目指しているのは「イノベーションアカデミー事業の推進によるマルチスケールシンクタンク機能を備えた成熟都市創造拠点の構築」ですが、今年は、大阪府市との関係強化、有力企業との実りある産学共創、研究・教育に専念できる大学の環境整備、ia杉本ウイングの充実といったところの種まきを着実に進めたいと思っていますので、皆さまお一人お一人のご協力をどうぞよろしくお願いいたします。

2年前、教職員の皆さまの献身的なご尽力のおかげで、歴史的な大学統合を果たすことができました。同規模の大学同士の統合は、これまでに経験したことのない大きな事業でしたが、先程申し上げたように大型公立総合大学としての方向性は、国から認められ大いに期待されています。しかしながら、まだまだ旧大学の制度を引きずる形式的なところが多々あって、最適化は道半ばです。今こそ旧大学の「いいとこ取り」を加速しなければならないと思っています。引き続きどうかよろしくお願いいたします。

さて年頭に当たり、今年も教職員の皆さまにいくつかお願いをさせていただきます。昨年新大学が開学して初めての新年に3つのことをお願いしましたが、これが必ずしも十分に浸透していないように思われますので、まずは皆さまにこの3つを再度お願いしたいと思います。一つ目は全員広報、二つ目は学生ファースト、三つ目は個人の研究に注力、の3つです。

一つ目の「全員広報」。本学の名称「大阪公立大学」は、関西以外ではまだ知名度が高くありません。「Osaka Metropolitan University」も海外では旧大学と比べて知られていないのが現状です。皆さまお一人お一人に、大学名を広めるための広告塔となっていただくことを再度お願いしたいと思います。リアルで開催される学会やセミナーが増えてきましたが、意識的に大学名をPRしていただければ幸いです。特に国際会議等の機会には、事あるごとに売り込みをお願いしたいと思います。
二つ目の「学生ファースト」。これは大学の教職員としては言わずもがなですが、特に現在約半数が大阪公立大学生、残りが旧大学生という状況にあることから、旧大学の学生が不安なく卒業まで学べることを意識した上で、すべての学生に寄り添って教育・研究を進めていただければと思っています。研究を通した人材育成については産業界にはすでに定評があり大いに期待されています。学生ファーストで元気な人材を送り出して下さい。
三つ目の「個人の研究に注力」につきましては、すべての教員の皆さまに科研費の申請を、引き続きお願いしたいと思います。科研費は個人の自由な発想で研究を進めていくという趣旨から、研究分野を問わず大学に籍をおく研究者として必須と私は思っています。研究費の額の多少は問題ではなく、大学教員の研究の原点と思っていますので、どうかよろしくお願いいたします。

さらにお願いです。つねづね私は、大学で育てたい人材を問われたときに3つのタイプを答えているのですが、そのうちの一つが「多様な価値観の存在を尊重し合える人」です。大学統合の完成を目指している今、教職員の皆さまにも敢えてこれを念頭に置いていただけると有り難いです。歴史や文化の異なる2つの大学の統合を経て、多様性を強みとし、総合知を駆使できる大学を標榜しているからこそ、教職員が学生に是非とも範を示していただき「相互理解による調和」と「いいとこ取り」を実践していただければと思います。

今年春には、杉本、中百舌鳥キャンパスで新棟がスタートし、来年にはあべの新棟、その後には森之宮メインキャンパスのオープンが待っています。教職員の皆さまには早速引っ越し等でご苦労をおかけすることになりますが、どうぞよろしくお願いいたします。特に全学の学生が関係する森之宮に向けては、今年さまざまな課題を皆さまとともに解決していかなければなりません。大阪公立大学の10年後、20年後、そして50年後にむけて、イノベーションアカデミー事業のヘッドクオーターとして、大阪城東部地区まちづくりの司令塔となることが期待される森之宮キャンパスは、本学の顔になっていくことでしょう。森之宮キャンパスのオープンに先立って開催される大阪関西万博とも合わせて、皆さまのご協力をお願いできればと思います。
地域の皆さんのwellbeingに貢献できる大学だからこそグローバルに通用する、世界で認められる大学だからこそ、地域の皆さんにも信頼される、そういった好循環を、公立大学の強みを活かして、多様な学生を巻き込んで生み出していく、イノベーションアカデミー事業を中心にそういう大学を目指していきたいと思います。そのためには、すべての教職員の皆さまのご協力が不可欠です。教職員一丸となって、新しい公立大学の歴史をつくっていきましょう。

今年の干支は辰。辰巳砂の辰は干支のタツです。先日福島理事長からもお墨付きを戴きましたが、今年は私の年だと思っていますので、大学の将来に向けての種まきとして、一年間色々とご無理をお願いするかもしれません。どうぞよろしくお願いいたします。
また、大学での最重要イベントである入試が、これから本格化して参ります。風邪などが流行っていますので、皆さまくれぐれも体調にお気を付けいただき、万全を期していただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

皆さまにとりまして、この一年、希望に満ちた飛躍の年となることを祈念しまして、年頭のご挨拶とさせていただきます。

2024(令和6)年1月10日
学長 辰巳砂 昌弘