お知らせ

前身校元学長・前身校名誉教授が令和7年秋の叙勲を受章

2025年11月3日

  • 受賞

2025年11月3日(月)、令和7年秋の叙勲受章者の発表があり、大阪市立大学元学長、大阪市立大学名誉教授をはじめ多数の関係者が受章しました。心よりお祝い申し上げます。

※ご本人から掲載承諾を頂いた受章について記載しております。

瑞宝中綬章

荒川 哲男(あらかわ てつお)
大阪市立大学 元学長

受章コメント

このたびは叙勲の栄誉に浴され、身に余る思いです。これも、大阪市立大学で永年に渡り、関係各位からいただいた暖かいご支援の賜と感謝申し上げます。
想い起こせば、学生結婚をしたこともあって、母校を卒業後は民間病院に就職することを考えていました。その期に及んで、大学を離れて出来なくなってしまうことは何かと、ふと思い悩み、大学院に行くことが浮かんだのです。家内は二度返事で賛成してくれました。
大学院で、知的好奇心から取り組んだ研究の成果が評価されるようになり、仲間が増えて大きな研究グループに発展しました。そこで、同志の大切さが身に浸み、そのころから「利他」の精神が芽生え始めました。結果、ずるずると大学に籍を置かせていただくことになりました。私が尊敬し師事した小林絢三名誉教授には、手厚いご指導と自由な環境を与えていただき感謝に堪えません。
ここで紹介いただいている略歴は、私の想定には無かったことばかりですが、全国医学部長病院長会議の会長として、医学教育や医育機関の在り方改革に取り組んだことや、母校の学長兼理事長として、大学統合やコロナ禍においても学生ファーストに徹することが出来たのも、一丸となって私を支えてくださった教職員や同窓会、教育後援会の皆様なくしては到底達成できなかったことです。
この受章を、感謝を込めて皆様と分かち合います。ありがとうございました。

略歴

昭和50年3月
大阪市立大学医学部 卒業
昭和56年3月
大阪市立大学大学院医学研究科 修了
昭和56年4月
大阪市立大学助手
昭和62年10月
大阪市立大学講師
平成5年1月
大阪市立大学助教授
平成12年10月
大阪市立大学教授
平成19年4月
大阪市立大学医学部附属病院消化器内科部長
平成19年4月
大阪市立大学医学部附属病院内視鏡センター長
平成28年4月
公立大学法人大阪市立大学理事長兼学長
平成31年4月
公立大学法人大阪副理事長兼大阪市立大学学長
令和4年4月
大阪市立大学名誉教授称号授与

専門分野:消化器内科学、消化器内視鏡学

業績

消化器内科学および消化器内視鏡学、特に消化性潰瘍の成因に関する研究に長年従事され、数多くの世界的な業績を上げてこられました。胃粘膜を胃酸から保護する役割におけるプロスタグランディンという物質に着目し、その正確な測定を可能にする凍結下粘膜剥離法を世界で初めて確立されました。この手法により、胃を中心とする消化管粘膜傷害の病態にプロスタグランディンの欠乏が生じていることを解明され、胃潰瘍などの治療法の発展に大きく寄与されています。また、提唱された“Quality of ulcer healing(潰瘍治癒の質)”の概念は国際的に高く評価されています。

加えて、医学教育の分野では、大阪市立大学医学部長として、国際化と広報活動の強化を行い、精力的に海外の大学と包括連携協定の締結を進めて教育・研究のグローバル化を推進されました。また、全国医学部長病院長会議(AJMC)の会長として、医学教育において医師国家試験に関する改革に取り組まれました。

学長・理事長としては、「笑顔あふれる知と健康のグローカル拠点」をスローガンに掲げ、医学部を有する総合大学としての強みを活かし、健康科学領域を中心に研究や産学官連携、地域貢献活動の強化にも尽力されました。令和2年当初からは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が猛威を振るい大学機能を混乱させましたが、迅速に新型コロナ対策会議を招集し、感染防御対策やオンライン授業の開始など次々と手を打たれました。そのリーダーシップは高く評価されています。学長退職後もラジオ番組等を通じて健康寿命延伸に向けた啓発活動を続けるとともに、社会福祉法人社会医療センターの理事長として地域医療の課題解決に邁進されています。

瑞宝中綬章

坂 壽二(さか としつぐ)
大阪市立大学 名誉教授

受章コメント

秋の叙勲におきまして瑞宝中綬章をいただき、大変光栄に存じます。これは大阪市立大学の教員として38年間という長きにわたり教育、研究に携わり、また教授に昇任後は全学の委員会の委員や委員長などを務めさせていただいたお陰かと思います。教育面では、建築学分野の教育の中で、建築構造学分野を担当し、学部、大学院での教育に務め、多くの卒業生、修了生を社会に送り出すことができました。研究面では、体育館などの大空間構造に採用されている立体骨組構造の力学特性に関する研究を、研究室の教員、職員、院生や学外の研究者、技術者の方々の協力によって多くの成果が得られ、それらは国の内外の学会等の論文集や著書に掲載することができ、日本建築学会賞(論文)を受賞することができました。また、社会貢献としては、既存建築物の耐震性に関する評価委員会、特定行政庁の建築審査会や地方自治体が建設計画する公共施設の選定委員会などの委員や委員長などを務めています。
最後に、大阪公立大学が、9月に森之宮キャンパスを開設し、教育、研究を通して国際社会の更なる発展に寄与する大学になりますよう願っております。

略歴

昭和42年3月
大阪市立大学工学部建築学科 卒業
昭和44年3月
大阪市立大学大学院工学研究科修士課程 修了
昭和45年4月
大阪市立大学助手
昭和49年10月
大阪市立大学講師
平成2年4月
大阪市立大学助教授
平成3年10月
大阪市立大学教授
平成20年4月
大阪市立大学名誉教授

専門分野:建築学

業績

建築学分野では、体育館やスポーツ施設などの大空間構造の基本的な構造システムとして広く採用されている二層立体トラス平板の設計法に関する教育・研究に長年従事され、その合理的かつ安全な設計法の確立に顕著な業績を残されています。この分野における数少ない研究者のひとりとして、長年にわたりこの分野を先導する役割を果たしてこられました。

教育の分野では、大阪市立大学工学研究科・工学部において38年間にわたり建築学教育に尽力されました。平成3~5年度には大学全体のカリキュラム改訂に伴う建築学科のカリキュラム検討委員を務め、現在の建築総合教育の基礎を構築されました。また、建築構造学分野の教授として学部、大学院での教育を務められ、学士76名、修士18名、博士5名、論文博士1名を輩出し、指導した修士論文が日本建築学会の優秀修士論文賞を受賞するなど、多くの優れた人材育成に大きく貢献されました。