最新の研究成果

腎移植レシピエント(腎移植を受けた患者)のタンパク摂取量と筋肉量の関係が明らかに―サルコペニアの予防に十分なタンパク摂取が必要ー

2022年8月31日

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  • 医学研究科

本研究のポイント

◇腎移植レシピエント(腎移植を受けた患者)において骨格筋量の変化とタンパク摂取量が正に相関することを発見した。
◇慢性腎臓病患者ではタンパク制限が一般的だったが、腎移植後の骨格筋量の改善には十分なタンパク摂取が必要である。

概要

大阪公立大学大学院医学研究科 泌尿器病態学の香束 昌宏研究員、岩井 友明講師、内田 潤次教授らの研究グループは、腎移植後の骨格筋量の変化はタンパク摂取量と正の相関関係であることを明らかにしました。本研究成果は、腎移植後のサルコペニアの改善につながることが期待されます。
慢性腎臓病患者は、腎機能の低下に伴う栄養摂取量の減少や身体活動の低下で骨格筋量が減少していることが知られています。腎移植後は腎機能が回復することで骨格筋量が増加することを本研究グループはこれまで明らかにしてきました。
慢性腎臓病患者では、過剰なタンパク摂取が腎機能を悪化させるため、タンパク制限して腎機能を保護するという考えが一般的でした。しかし、その一方で厳しいタンパク制限がサルコペニアを悪化させ生命予後の悪化に繋がる可能性も指摘されています。
本研究グループは、腎移植レシピエント64名を対象に、生体電気インピーダンス法によって測定した腎移植12ヶ月後の骨格筋量の変化と、蓄尿検査から推定されるタンパク摂取量との関連を調べました。その結果、腎移植レシピエントでは腎移植12ヶ月後の骨格筋量の変化がタンパク摂取量と正に相関し、不十分なタンパク摂取量では筋肉量が減少することが明らかになりました。(図1)
本研究成果は、2022年7月31日に国際学術誌「Clinical Nutrition」(IF = 7.643)オンライン速報版に掲載されました。

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研究者からのコメント

今後、タンパク摂取量を含めた栄養指導が健康寿命や生命予後改善につながるのではないかと期待しています。ただ、今回の研究では、高タンパク摂取による腎機能に及ぼす影響については調べていませんので、タンパクの過剰摂取を推奨するものではありません。

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香束 昌宏研究員

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岩井 友明講師

掲載誌情報

雑誌名:

Clinical Nutrition (IF = 7.643)

論文名:

Influence of protein intake on the changes in skeletal muscle mass after kidney transplantation

著者:

Akihiro Kosoku, Tomoaki Iwai, Takuma Ishihara, Kazuya Kabei, Shunji Nishide, Keiko Maeda, Yoshiko Hanayama, Eiji Ishimura, Junji Uchida

掲載URL

https://doi.org/10.1016/j.clnu.2022.07.028

プレスリリース(全文) (284.3KB)

研究内容に関する問合せ先

大阪公立大学大学院 医学研究科 泌尿器病態学
担当:香束 昌宏
TEL:06-6645-3857
E-mail:g22968i[at]omu.ac.jp
[at]を@に変更してください。

取材に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:上嶋(かみしま) 健太
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
[at]を@に変更してください。

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