最新の研究成果

~ 全人工膝関節置換術後患者の歩行機能改善にむけて~膝伸展「速度」が重要な要因であることが明らかに

2022年11月25日

  • プレスリリース
  • リハビリテーション学研究科

本研究のポイント

◇全人工膝関節置換術後の歩行機能と膝伸展速度の関係に着目した初の研究
◇歩行機能は 、膝伸展「筋力」よりも膝伸展「速度」が大きく影響していることが明らかに
◇効率的な歩行改善のための新たなリハビリテーションプログラムの開発に期待

概要

大阪公立大学大学院リハビリテーション学研究科の岩田 晃教授らの研究グループは、 変形性膝関節症の治療で全人工膝関節置換術を受けられた高齢者 186 名を対象に、手術前、手術後2週間/3週間に、無負荷の膝伸展速度、膝伸展筋力、疼痛、歩行機能等を計測し、歩行機能に対する各項目の影響度合いを比較しました。

これまで術後の歩行機能には、膝伸展を行う大腿四頭筋筋力の影響が大きいと考えられてきましたが、筋力が回復しても歩行機能が改善しないケースも多く 、別の要因特定が必要と考えられてきました。
そこで本研究では、全人工膝関節置換術後の歩行機能と膝伸展速度の関係に着目し、歩行に与える影響を比較した結果、手術側膝伸展速度と非手術側の大腿四頭筋筋力が重要な要因であることが明らかになりました。

         無負荷の膝伸展速度計測
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変形性膝関節症の患者の多くは、痛みやそれに伴う歩行障害を改善するために全人工膝関節置換術を選択をします。そのため術後の歩行機能改善は、高齢者のQOL(生活の質)においても重要な課題です。


本研究成果は、2022年11月22日に米国科学誌「PLOS ONE」にオンライン掲載されました。

人工膝関節の手術を受ける患者さんにとって、歩行機能の改善は非常に重要です。本研究によって、筋力だけでなく「膝を速く動かすこと」が歩行機能の改善に重要であることが明らかになりました。この結果は「速く動かすこと」に焦点を当てた「新たなリハビリテーション方法の開発」に繋がります。

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岩田 晃教授

 

掲載誌情報

【雑誌名】PLOS ONE
【論文名】Maximum knee extension velocity without external load is a stronger determinant of gait function than quadriceps strength in the early postoperative period following total knee arthroplasty
【著者】Akira Iwata, Yuki Sano, Hideyuki Wanaka, Shingo Kobayashi, Kensuke Okamoto, Jun Yamahara, Masaki Inaba, Yuya Konishi, Junji Inoue, Atsuki Kanayama, Saki Yamamoto, Hiroshi Iwata
【論文URL】 https://doi.org/10.1371/journal.pone.0276219

プレスリリース全文 (500.5KB)

資金情報

本研究は、科研費(20K11162, 立位姿勢のタイプ分けに基づく歩行速度の規定要因分析および介入プログラムの開発)の対象研究です。

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院 リハビリテーション学研究科
教授 岩田 晃(いわた あきら)
TEL:072-950-2986
E-mail:iwata[at]omu.ac.jp   [at]を@に変更してください

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:田中
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp   [at]を@に変更してください

該当するSDGs

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