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素粒子ニュートリノの謎にランダム行列理論で迫る!

2023年3月8日

  • プレスリリース
  • 理学研究科

本研究のポイント

◇素粒子物理学者の多くが注目:レプトンの特異的な「世代間混合の大きさ」の解明へ。
◇素粒子物理に「数学理論」を用いた画期的な手法で、本現象の説明に新展開!

概要

すべてのものは細かく砕いていくと最終的には「素粒子」になります。素粒子は現時点で12種類あり、クォーク(6種類)とレプトン(6種類)に分けられます。また、それぞれ質量だけが異なる3回のコピー構造(3世代構造)をとります。

大阪公立大学大学院 理学研究科 波場 直之教授らの研究グループは、レプトンに属しているニュートリノの質量行列の各要素を解析し、レプトンの世代間混合が大きくなることを理論的に示しました。さらに、3世代のニュートリノ質量の2乗差計算が、タイプ1シーソー機構の場合の実験結果とほぼ一致する理由を、数学のランダム行列理論を用いることで、現段階で、でき得る限り証明できました。
本研究成果は、未だ謎の多い素粒子論研究のさらなる発展に貢献することが期待されます。
 
本研究成果は、2023年1月19日に国際学術誌「Progress of Theoretical and Experimental Physics」にオンライン掲載されました。


press_220727-2図 :横軸はニュートリノの質量2乗差比の常用対数、縦軸はその確率分布を表す。色の異なるヒストグラムは、さまざまなシーソー機構での確率分布を表す。縦の赤線・青線は、ニュートリノ質量2乗差比の常用対数の実験値(1σ・3σ誤差)を表す。オレンジ色のタイプ1シーソー機構の確率分布が実験値と最も合うことがわかる。(実験値を再現する確率において、5種類のうちタイプ1が最も確率が高い。)

資金情報

本研究はJSPS 科研費(JP21H00076, JP19K14710) の助成を受けたものです。

掲載紙情報

発表雑誌: Progress of Theoretical and Experimental Physics
論 文 名: Neutrino mass square ratio and neutrinoless double beta decay in random neutrino mass matrices
著     者: Naoyuki Haba, Yasuhiro Shimizu, and Toshifumi Yamada
掲載URL: https://doi.org/10.1093/ptep/ptad010 



プレスリリース全文 (912.7KB)

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院 理学研究科
教授:波場 直之(はば なおゆき)
E-mail:haba[at]omu.ac.jp
[at]を@に変更してください

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp [at]を@に変更してください

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