最新の研究成果

フルカラー円偏光を発生させる有機円偏光発光ダイオードを開発 新しい3D表示用有機ELディスプレイ製造等への応用に期待

2023年4月13日

  • プレスリリース
  • 工学研究科

ポイント

◇光学不活性※1な分子であるイリジウム錯体を用いて有機発光ダイオードを作製し、外部から磁力を加えることにより、赤・緑・青・黄のフルカラー円偏光の発生に成功。
◇加える磁力の方向を変えることで円偏光の回転方向を制御し、右回転と左回転の円偏光を選択的に取り出すことに成功。
◇本研究成果を、新しいタイプのフルカラー3D表示用有機ELディスプレイの製造や、高度な次世代セキュリティ認証技術の実用化などへ生かすことに期待。

概要

大阪公立大学大学院 工学研究科の八木 繁幸教授、近畿大学理工学部応用化学科の今井 喜胤(よしたね)教授らの研究グループは、イリジウム錯体※2を発光材料とする、フルカラー有機円偏光発光ダイオード※3を開発しました。開発したダイオードに外部から磁力を加えることで、3D立体映像を映し出す際に使われる、らせん状に回転しながら振動する光「円偏光」を赤・緑・青・黄(RGBY)のフルカラーで発生させることに成功しました。さらに、加える磁力の方向を変えることで、全ての色の円偏光の回転方向を制御できることも明らかにしました。本研究成果を用いることで、有機円偏光発光ダイオードの製造コストを安く抑えられる可能性があり、将来的に、新しいタイプのフルカラー3D表示用有機ELディスプレイ等の製造や、高度な次世代セキュリティ認証技術の実用化に繋がることが期待されます。

本件に関する論文が、2023年4月3日(月)に、有機EL分野の国際的な学術誌である“Organic Electronics”にオンライン掲載されました。

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開発した有機円偏光発光ダイオードから発生させた、RGBYフルカラー円偏光

円偏光発光デバイスは、3Dディスプレイのみならず、セキュリティ技術やセンサー、さらにはバイオイメージングなど、光学技術分野から医科学分野まで、さまざまな次世代応用技術分野において注目されています。我々の磁場を利用して簡便に円偏光を得る手法が、さまざまな革新的技術の創出を促進することを期待しながら、現在の研究をさらに深化させたいと思います。

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八木 繁幸教授

 

掲載誌情報

【掲載誌】Organic Electronics
【論文名】Red–Green–Blue–Yellow (RGBY) Magnetic Circularly Polarized Electroluminescence from Iridium(III)-Magnetic Circularly Polarized Organic Light-Emitting Diodes
【著者】北原真穂、原健吾、鈴木聖香、岩﨑寛、八木繁幸、今井喜胤* *責任著者
【論文掲載】https://doi.org/10.1016/j.orgel.2023.106814

用語解説

※1 光学活性/光学不活性…物質が直線偏光の偏光面を回転させる性質(旋光性)があるとき、この物質は光学活性であるといい、偏光面を回転させる性質がないとき、この物質は光学不活性という。

※2 イリジウム錯体…イリジウムは白金族に分類される原子番号77の遷移元素であり、白金の精製の際に副産物として得られる。このイリジウムと有機化合物が結合したものがイリジウム錯体である。有機発光ダイオード用の発光材料として実用化されており、高い量子効率でリン光を発する。

※3 有機円偏光発光ダイオード…電圧をかけると有機物が発光する現象を有機EL(Electroluminescence)といい、この現象を利用したデバイスを有機発光ダイオード(Organic Light-Emitting Diode)という。この際、発光が円偏光であるダイオードを有機円偏光ダイオードという。

研究に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院 工学研究科
教授 八木 繁幸(やぎ しげゆき)
TEL:072-254-9320
E-mail:yagi[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:竹内
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

該当するSDGs

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