最新の研究成果

ナノ流体デバイスでタンパク質を1つずつ計測! ~未来の精密医療の基盤へ~

2023年6月23日

  • プレスリリース
  • 工学研究科

ポイント

◇特定の分子と特異的に結合する合成抗体(アプタマー)を応用したデバイスを開発。
◇高濃度サンプル中のタンパク質を、1分子ずつ捕捉・計測することに成功。

概要

遺伝子情報や生活環境、ライフスタイルなど個人の違いに合わせて、最適な疾病予防や医療を提供する「精密医療」の実現には、遺伝子やタンパク質といった生体分子の「種類」や「数」の情報を正確に把握することが重要です。そのためには、細胞内の全生体分子数を数える技術が必要ですが、わずかピコリットル(10−12 L)体積の細胞内容物を取り扱うツールや、高濃度の細胞内から全生体分子の数を正確に計測する方法はありませんでした。

ナノ流体デバイスは、ナノサイズの流路を持つガラス製デバイスで、その特徴から流体中の分子を1つずつ観測することに適しています。大阪公立大学大学院 工学研究科の許 岩准教授とペンシルベニア州立大学の共同研究グループは、この流路にアプタマーを高密度に配列したナノ流体デバイス(ナノ流体アプタマーナノアレイ、NANa)を用い、高濃度サンプル中に含まれる標的タンパク質を1分子ずつ捕捉・計測することに成功しました(図1)。今後は、実際の細胞サンプルを用いた実証を進めるとともに、得られたデータのデジタル化により、AI画像認識などとの連携に取り組みます。

本研究成果は、2023年6月23日に、国際学術誌「Small」のオンライン速報版に掲載されました。

press_0623
1 本研究で開発したNANaの構造

人間は大量の細胞からなる複雑な生物です。個々の細胞が持つ生体分子「数」情報のデジタル化を可能とするNANaが、生命科学と情報科学の架け橋となり、将来の精密医療の基盤を築くことを期待しています。

xu teacher

許 岩准教授

掲載誌情報

【発表雑誌】Small(IF=15.153)
【論文名】Nanofluidic aptamer nanoarray to enable stochastic capture of single proteins at normal concentrations
【著者】Jinbin Yang, Hiroki Kamai, Yong Wang, and Yan Xu*
【論文URL】https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/smll.202301013

資金情報

本研究は、国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B)、19KK0129)を始めとする科研費(21H04640、21H05231等)、JSPS外国人研究者招へい事業(S19151)などの支援を受けて行われました。

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院 工学研究科
准教授 許 岩(しゅう いぇん)
TEL:072-254-7813
E-mail:xuy[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:竹内
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

該当するSDGs

  • SDGs03
  • SDGs09