最新の研究成果

計測時間を大幅短縮! 食品中の生きた細菌数を計測する新技術を開発

2023年8月28日

  • プレスリリース
  • 工学研究科

ポイント

◇食品の細菌汚染レベルを評価する重要な指標である「一般生菌数1」。
◇電流を用いて一般生菌数を迅速に測定可能な技術を開発。
◇食品出荷前に検査結果が分かるため、食中毒の予防が可能に。

概要

学校給食や食品工場等での検査項目の一つである「一般生菌数」は、食品の細菌汚染レベルを評価する重要な指標です。しかし、検査に2日間かかるため結果は出荷後にしか分からず、食中毒を防ぐためには迅速に検査可能な技術の開発が必要です。

大阪公立大学大学院 工学研究科の池田 光大学院生(博士前期課程2年)、床並 朗大学院生(博士前期課程1年)、椎木 弘教授らの研究グループは、電流を用いて一般生菌数を簡便に測定する検査技術を開発し、検査時間を2日から約1時間まで、大幅に短縮することに成功しました。本手法を用いて食品の安全性を出荷前に確認することで、食中毒予防が可能となります。

本研究成果は、2023年8月10日に国際学術誌「Analytical Chemistry」のオンライン速報版に掲載されました。

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私たちは、光や熱、電気などの外部刺激に対して細胞や細菌が出す物理信号に着目した、新しい検出原理の開発を行っています。
特に本開発は、食のみならず、医療、創薬、公衆衛生などさまざまな分野に展開できるため、デバイス化を含め検査法としての確立を目指して研究を進めていきたいと思います。

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椎木 弘教授

掲載誌情報

【発表雑誌】Analytical Chemistry
【論文名】Evaluation of Bacterial Activity Based on the Electrochemical Properties of Tetrazolium Salts
【著者】Hikaru Ikeda, Akira Tokonami, Shigeki Nishii, Xueling Shan, Yojiro Yamamoto, Yasuhiro Sadanaga, Zhidong Chen, and Hiroshi Shiigi
【掲載URL】https://doi.org/10.1021/acs.analchem.3c01871

資金情報

本研究の一部は、JST研究成果展開事業 大学発新産業創出プログラム(START)(JPMJST1916)、および科学研究費助成事業(科研費)基盤研究(A)(21H04963)、挑戦的萌芽(開拓)(22K18442)からの支援を受けて行われました。

用語解説

※1 一般生菌数…ある一定条件下で発育する生きた細菌の総数を意味し、食品の細菌汚染レベルを示す最も代表的な指標の一つ。大腸菌やサルモネラなどの腸内細菌科菌群、ブドウ球菌のほか、ヒトの体に有用な乳酸菌なども含まれる。

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院 工学研究科
教授 椎木 弘(しいぎ ひろし)
Tel:072-254-9875
E-mail:shii[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:竹内
Tel:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

該当するSDGs

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