最新の研究成果

本研究のポイント

• サイトグロビンがメラノサイト（色素細胞）内で活性酸素から細胞を守る重要なタンパク質であると解明。
• シミやアザの治療法に加えて、皮膚がん（メラノーマ）治療法への応用に期待。

概要

皮膚では太陽の紫外線を浴びると活性酸素が発生しますが、過剰な活性酸素はシミやシワ、たるみを引き起こす原因となります。皮膚に存在するメラノサイトという色素細胞がメラニン色素を合成することで活性酸素によるダメージから守っています。一方、メラニン色素を合成する過程でも活性酸素が発生しますが、この相反する作用の詳細は不明でした。また、メラノサイトはサイトグロビンというタンパク質を強く発現していますが、肝臓などでこのタンパク質は酸化ストレスから細胞を保護する作用があることが知られていました。

大阪公立大学大学院 医学研究科の吉里 勝利特任教授、鶴田 大輔教授、獣医学研究科の松原 三佐子准教授ならびに日本メナード株式会社らの研究グループは、サイトグロビンの働きを阻害したメラノサイトでは活性酸素の量が増えることでメラニン色素生成が増加することを解明しました（図1）。

​​本研究から、サイトグロビンがメラノサイトの活性酸素を軽減することにより、皮膚のメラニン色素生成を制御していることがわかりました。今回の発見は、シミやアザなどの美容関連の治療法に応用できる可能性だけでなく、皮膚がんであるメラノーマの治療法につながる可能性も示唆しています。

本研究成果は、国際学術誌「Pigment Cell & Melanoma Research」に2023年11月2日にオンライン掲載されました。

図1. メラノサイト内では、サイトグロビンが 過剰な酸化ストレスを軽減することによって、
シーソーのように細胞内の酸化還元のバランスを保っている。

掲載誌情報

研究に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院医学研究科合成生物学寄附講座・獣医学研究科細胞分子生物学
担当：松原 三佐子
E-mail：mmatsubara[at]omu.ac.jp　[at]を＠に変更してください

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当：上嶋 健太
TEL：06-6605-3411
E-mail：koho-list[at]ml.omu.ac.jp [at]を＠に変更してください