最新の研究成果

直前の判断がその後の判断に影響 - 点の数を推測する実験で実証 -

2024年2月13日

  • 現代システム科学研究科
  • プレスリリース

ポイント

◇直前の判断が、その後の判断に影響を与えることを「系列依存性」という。
◇数を推測するとき、系列依存性がどのような状況で起こるのかを心理実験により調査し、直前の回答の影響を受けることを実証。
◇ヒューマンエラーを防ぐ情報提示のデザインを考える上で重要な知見。 

概要

展覧会でたくさんの絵を見るとき、絵が並ぶ順序によって、それぞれの絵に対する評価が微妙に変化するように、私たちが見たり聞いたりするときに受け取る情報は、直前に受け取った情報や、その情報への判断の影響を受けることが分かっています。このような影響の一つを「系列依存性」といいます。直前の判断の影響を受けることで起こるヒューマンエラーを防ぐためには、系列依存性がどのような条件で起こるのか、そのメカニズムを明らかにすることは非常に重要です。

大阪公立大学大学院 現代システム科学研究科の牧岡 省吾教授と森本 優洸聖大学院生(大阪府立大学大学院 人間社会システム科学研究科 博士後期課程3年)は、系列依存性のメカニズムを明らかにするため、画面上に0.25秒表示された8~32個の点の数を推測し回答する心理実験を行いました。その結果、直前に画面に表示された点の数を回答するかどうかが、系列依存性に強い影響を与えることが明らかになりました。また、直前に回答した点の数が多いと次の試行で答える数が多くなり、直前の回答が小さいと次の試行の回答も小さくなることを実証しました。本成果は、数を推測するときに直前の回答の影響を受けることを意味しており、ヒューマンエラーを防ぐ情報提示のデザインを考える上で重要な知見です。

本研究成果は、2024年1月24日に国際科学誌「Scientific Reports」にオンライン掲載されました。

press_0213_1図 本実験のイメージ。被験者は画面に表示された点の数を推測して回答する。

視覚情報を考える上で、目に映ることと、映った内容に基づいて意思決定することが明確に違うことが示せました。系列依存性、数ともに未解明なことが多いテーマですが、これからも研究を続けていきます。

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森本 優洸聖大学院生

掲載誌情報

【雑誌名】Scientific Reports
【論文名】Response boosts serial dependence in the numerosity estimation task
【著者】Yukihiro Morimoto & Shogo Makioka
【掲載URL】https://doi.org/10.1038/s41598-024-52470-0

資金情報

本研究は、JST 次世代研究者挑戦的研究プログラム(JPMJSP2139)の支援を受けて実施しました。

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学 現代システム科学研究科
教授:牧岡 省吾(まきおか しょうご)
TEL072-254-9187
E-mailmakioka[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:竹内
TEL06-6605-3411
E-mailkoho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

該当するSDGs

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