最新の研究成果

速い動きを生む鍵、“腰の可動性”が決め手と判明

2026年4月9日

  • リハビリテーション学研究科
  • プレスリリース

発表者

大阪公立大学大学院リハビリテーション学研究科 大嶺 俊充客員研究員、 岩田 晃教授

オーストラリア ジェームス・クック大学 Kenji Domaケンジ ドマ)准教授

概要

本研究グループは、高校サッカー部員を対象に、90°片脚腿上げ動作時の腰椎骨盤帯の運動量をIMU (Inertial Measurement Unit :慣性計測装置)で計測しました。下肢の運動範囲・速度を標準化し、総運動量として算出することで、下肢運動速度と腰椎骨盤帯運動量の関係を直接検証しました。その結果、高速条件で回旋・屈伸ともに運動量が増大し、サッカーに必要な速い下肢動作には腰の可動性が重要であることが示されました。

本研究成果は、2026年2月5日に国際学術誌「Sports」にオンライン掲載されました。

ポイント

  1. 高校サッカー部員51人を対象に90°片脚腿上げをした際の腰椎骨盤帯の運動量を計測。
  2. 下肢の運動を標準化し総運動量を算出することで、下肢運動速度と腰椎骨盤帯運動量の関係を直接検証可能に。
  3. 下肢の高速運動を行う際は、腰椎骨盤部を過度に固定するのではなく、腰の可動性が重要である可能性を示唆。

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<研究者コメント>

本研究で示された、下肢を速く動かすためには、腰椎骨盤帯を大きく動かす必要があるという知見は、サッカーに限らずさまざまなスポーツのパフォーマンス向上に応用できると考えています。研究室では、パフォーマンスを高めるために重要な動作や身体機能を科学的に分析しています。また、リハビリテーションを専門とする立場から、けがの予防という視点も重視し、「傷害予防」と「パフォーマンス向上」の両立を目指した研究に取り組んでいます。(岩田)

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岩田教授

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大嶺客員研究員

研究の背景

サッカー選手において、下肢運動速度を速くすることは重要な課題ですが、腰(腰椎骨盤帯)の可動性を優先して大きく動かすべきか、安定性を優先してできるだけ小さくすべきかについては明らかになっていません。そのため、キックスピードを上げるためにどのようなトレーニングをすべきか明確になっていない点が、現状の課題です。

研究の内容

本研究では、高校サッカー部に所属する選手51人を対象としました。運動課題は90°片脚腿上げ動作とし、その際の腰椎骨盤帯の運動量を3軸加速度計ならびに角速度計が内蔵されたIMU (Inertial Measurement Unit :慣性計測装置)を用いて計測しました。この研究の特徴は、下肢の運動範囲と運動速度を標準化していることと、運動量を腰の動き全体の総量で算出したことにあります。それによって、下肢運動速度と腰椎骨盤帯運動量の関係性を直接的に検証することが可能となりました。検証の結果、低速条件と比較し、高速条件の方が腰椎骨盤帯の運動量が、回旋・屈伸ともに大きくなることが明らかとなり、キックやスプリントなど、サッカー選手が必要とする下肢の速い動きを発揮するためには、腰の可動性が必要なことがわかりました。

期待される効果・今後の展開

本研究の結果は、トレーニングの際に体幹を固定することより大きく動かすことが、パフォーマンス向上に貢献する可能性を示していると、我々は考えています。今後、さらなる研究を重ねて、下肢の速い動きを獲得するための腰部・体幹のトレーニング方法を確立し、また腰痛予防にも展開していく予定です。

掲載誌情報

【発表雑誌】 Sports
【論文名】 Greater Lumbopelvic Motion Is Associated with Faster Hip Flexion in Soccer Players
【著者】 Toshimitsu Ohmine, Akira Iwata, Atsuki Kanayama, Hideyuki Wanaka, Kazuma Senzaki, Mitsuhiro Seo, Keita Sasada, Yoshihiko Kawamoto, Saki Yamamoto, Kenji Doma

【掲載URL】 https://doi.org/10.3390/sports14020065

資金情報

本研究は日本学術振興会科学研究費補助金(課題番号:22K11514)の助成を受けて実施しました。

用語解説

※ IMU (Inertial Measurement Unit :慣性計測装置)
加速度や回転の変化をセンサーで測定し、身体や物体の動きを計測する小型の装置。

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院リハビリテーション学研究科
教授 岩田 晃(いわた あきら)
TEL:06-6167-1255
E-mail: iwata[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:橋本
TEL:06-6967-1834
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

該当するSDGs

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