最新の研究成果
致死性脳炎を引き起こすボルナ病ウイルス1 型の基本構造を解明 近縁の病原性ウイルスの理解にも繋がる発⾒
2026年4月13日
- 獣医学研究科
- プレスリリース
概要
ボルナ病ウイルス1型(BoDV-1)は、ヒトや動物の命に関わる重い脳炎を引き起こすことがあるウイルスです。このウイルスは、エボラウイルスや麻疹ウイルス、狂犬病ウイルスなど、世界的に重要な感染症を引き起こすウイルスと同じ「モノネガウイルス目」と呼ばれるグループに属しています。こうしたウイルスでは、遺伝情報であるRNAと、それを包む核タンパク質が結合した複合体が、ウイルスが増殖するための鍵となっています。しかし、ボルナウイルス科では、この複合体がどのような形をしているのか、長年にわたって解明されていませんでした。
今回、クライオ電子顕微鏡法を用いた構造解析により、BoDV-1の核タンパク質-RNA複合体の立体構造を高解像度で明らかにしました。ボルナウイルス科において核タンパク質-RNA複合体の構造が解明されたのは本研究が初めてです。
本研究は、BoDV-1が増殖する仕組みについての理解を深めるとともに、核タンパク質とRNAの相互作用部位を標的とする薬の開発につながることが期待されます。また、モノネガウイルス目に属する近縁ウイルスとの比較を通じて、ウイルスの進化の理解にもつながると考えられます。
本研究は、大阪公立大学大学院獣医学研究科 堀江真行 教授(兼:大阪国際感染症研究センター)が、京都大学医生物学研究所 杉田征彦 准教授(兼:大学院生命科学研究科)、後藤真也 同博士課程学生(大学院生命科学研究科)、藤原拓朗 同博士課程学生(大学院医学研究科)、朝長啓造 同教授(兼:大学院医学研究科)、野田岳志 同教授(兼:大学院生命科学研究科)、大阪歯科大学歯学部 平井悠哉 講師らと共同で実施したものです。
本成果は、2026年4月10日14時(米国東部時間)に米国の国際学術誌「Science Advances」にオンライン掲載されました。

本研究の概念図:多数の複合体状態から、核タンパク質-RNA 複合体の構造を見出した。©杉田征彦
掲載誌情報
【発表雑誌】 Science Advances
【論文名】 Structure and assembly of Borna disease virus 1 nucleoprotein‒RNA complexes
【著者】 Yukihiko Sugita (杉田征彦) *†, Yuya Hirai (平井悠哉) *†, Shinya H. Goto (後藤真也), Takuro Fujiwara (藤原拓朗), Keizo Tomonaga (朝長啓造), Takeshi Noda (野田岳志), Masayuki Horie (堀江真行) †
* 共同筆頭著者 † 共同責任著者
【掲載URL】 https://doi.org/10.1126/sciadv.aeb0835
研究に関する問い合わせ先
大阪公立大学大学院獣医学研究科/大阪国際感染症研究センター
教授 堀江 真行(ほりえ まさゆき)
E-mail:mhorie[at]omu.ac.jp X(Twitter):[at]Masayuki_Horie
※[at]を@に変更してください。
報道に関する問い合わせ先
大阪公立大学 広報課
TEL:06-6967-1834
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
※2026年4月14日
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