最新の研究成果
世界の陸上生態系のCO₂吸収量を可視化する新データ基盤「FLUXNET Shuttle」の本格運用開始
2026年5月25日
- 農学研究科
- プレスリリース
発表者
大阪公立大学大学院農学研究科 植山 雅仁准教授、千葉大学環境リモートセンシング研究センター 市井 和仁教授
概要
森林、水田、湖沼などの陸域生態系が、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスをどの程度吸収・放出しているかを把握することは、地球温暖化対策に不可欠です。FLUXNETは、このような陸域生態系と大気の間のCO2や水・エネルギーの交換(フラックス)を明らかにするため、世界各地の観測サイトにおいて長期観測を行う国際研究ネットワークとして機能しています。
FLUXNET Shuttleは、世界各地で観測されたCO2吸収量データを一括して利用できる新しいデータ提供システムです。本システムは、北米、南米、ヨーロッパ、オセアニア、アジア、アフリカなど世界各地の地域ネットワークが連携して構築されたもので、日本からは本プレスリリース発表者らがJapanFluxに属する観測データの集約とFLUXNETへの提供を担う中核的役割を果たしました。
図:FLUXNET Shuttle により統合された世界の観測地点の分布(716サイト)
従来はデータ公開が不定期に行われていましたが、本システムにより継続的なデータの追加・更新が可能となります。現在、700を超える観測地のデータが公開されており、日本からは52地点のデータが提供されています。これにより、地球規模での解析の促進に加え、日本を含むアジア地域における生態系機能の理解の深化も期待されます。さらに、データ品質管理やデータ形式の統一により信頼性が向上したほか、適切なデータ引用を支援する仕組みも整備されています。FLUXNET Shuttleは、地域ごとのデータポータルを補完しつつ、より広い視点での研究を可能にするものであり、気候変動や生態系研究など幅広い分野での活用が期待されています。
ポイント
- 世界中の観測データを「一括・リアルタイム」で取得可能。
- 700以上の観測地で延べ約6000サイト年(約6000年分に相当)のデータを収録し、従来(FLUXNET2015)の約3倍に拡大。
- 複数大陸のネットワークが連携し、品質管理・データ形式・ライセンスを統一。研究・教育など多分野での活用拡大を促進。
- 日本の研究コミュニティが1990年代から蓄積してきた観測データを提供し、本システムの構築とデータ基盤の拡充に貢献。
<研究者のコメント>
長年にわたり日本の研究者が取り組んできた多点・長期の観測データを、国際的な研究データセットへと接続できたことに大きな意義を感じています。さらに、FLUXNET Shuttleという利用しやすい基盤が整備されたことで、陸域生態系の理解の深化や国際共同研究の一層の進展につながることを期待しています。

植山 雅仁准教授
資金情報
本研究は、JSPS科研費(21H05316)、JSPS日中韓フォーサイト事業(JPJSA3F20220002)の支援を受けて実施します。
関連情報
- FLUXNET Shuttle Webサイト:https://data.fluxnet.org
- アジア地域初! 陸域生態系によるCO₂吸収動態を明らかにする大規模基盤データセット「JapanFlux2024」を構築 (プレスリリース):https://www.omu.ac.jp/info/research_news/entry-19012.html
研究内容に関する問い合わせ先
大阪公立大学大学院農学研究科
准教授 植山 雅仁(うえやま まさひと)
TEL:072-254-9432
E-mail:mueyama[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
報道に関する問い合わせ先
大阪公立大学 広報課
TEL:06-6967-1834
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
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