最新の研究成果

透析患者における血液型と死亡リスクの関連を明らかに~血液型が透析患者の予後と関連する可能性を提示~

2026年6月17日

  • 医学研究科
  • プレスリリース

発表者

大阪公立大学大学院医学研究科代謝内分泌病態内科学 藏城 雅文講師、庄司 哲雄特任教授、代謝内分泌病態内科学/腎臓病態内科学 繪本 正憲教授

概要

これまで一般の人々では、O型の人は他の血液型と比べて心血管疾患の発症や死亡が少ないことが報告されていました。しかし、心血管疾患が主な死亡原因である透析患者を対象とした、血液型と死亡のリスクの関連は十分に検討されていませんでした。
本研究グループは、大阪府内17施設の透析患者1,671人を対象に、ABO式血液型と死亡リスクとの関連を調査しました。その結果、透析患者ではA型の患者で、あらゆる原因による死亡(総死亡)および心血管疾患による死亡(心血管死亡)のリスクが低いことが明らかになりました。本研究成果は、透析患者特有の心血管疾患の仕組みを理解する新たな手がかりとなることが期待されます。
本研究成果は、2026年4月22日に国際学術誌「Kidney International Reports」にオンライン掲載されました。

ポイント

  1. 1,671人の透析患者を約5年間追跡し、A型の患者で「総死亡」と「心血管死亡」のリスクが有意に低いことを確認。
  2. 一般の人々ではO型が低リスクとされる一方、本研究では透析患者でA型が低リスクという異なる結果を示した。
  3. 血液型が透析患者の予後と関連する可能性を提示し、透析患者特有の心血管疾患メカニズム解明や新規予防・治療法開発につながることが期待される。

260617_kurajho

図:ABO式血液型別の総死亡および心血管死亡の割合

<研究者コメント>

一般の人々では、O型は心血管リスクが低いことが知られています。しかし今回の研究では、透析患者ではA型で総死亡および心血管死亡のリスクが低いという結果が得られました。なぜこのような違いが生じるのかはまだ分かっていませんが、透析患者では一般の人々とは異なる仕組みが心血管疾患に関与している可能性を示しています。今回の研究成果が、透析患者さんの心血管疾患の理解や新たな予防法の開発につながることを期待しています。

profile_kurajho藏城 雅文講師

研究の背景

ABO式血液型は、輸血の際に必要な情報として広く知られています。しかし近年では、血液型が心筋梗塞や脳卒中などの病気のなりやすさと関係する可能性も報告されています。
これまでの研究では、一般の人々において、O型の人は心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患のリスクが低く、心血管疾患による死亡も少ないことが報告されています。一方、透析患者では心筋梗塞、脳卒中、心不全などの心血管疾患が主な死亡原因となっていますが、血液型と死亡リスクとの関連については十分に調べられていませんでした。
そこで本研究では、「一般の人々でみられる血液型と心血管リスクとの関係が、透析患者でも当てはまるのか」を明らかにするため、大規模な前向き観察研究を行いました。

研究の内容

本研究では、大阪府内17施設で透析を受けている1,671人を対象に、ABO式血液型と死亡リスクとの関連を調べました。対象者を約5年間追跡し、総死亡、心血管死亡、それ以外の原因による死亡(非心血管死亡)との関係を解析しました。
追跡期間中に464人が死亡し、そのうち278人が心血管疾患による死亡でした。解析の結果、A型の患者では、総死亡および心血管死亡のリスクが低いことが明らかになりました(図)。一方で、感染症や悪性腫瘍などによる非心血管死亡については、血液型との関連は認められませんでした。
特に注目すべき点は、一般の人々ではO型で心血管リスクが低いと報告されているのに対し、透析患者ではA型でリスクが低かったことです。この結果は、透析患者では一般の人々とは異なる仕組みで心血管疾患が発症している可能性を示しています。

期待される効果・今後の展開

本研究は、血液型という誰にでも分かる身近な情報が、透析患者の予後と関連する可能性を示した研究です。特に、一般の人々と透析患者で異なる結果が得られたことは、透析患者特有の心血管疾患の仕組みを理解する上で重要な発見と考えられます。
現時点では、血液型によって治療方針や予防法を変更する段階ではありません。しかし、なぜ透析患者ではA型の患者で心血管死亡リスクが低かったのかを解明することで、透析患者に特有の心血管疾患の仕組みの理解や、新たな予防・治療法の開発につながる可能性があります。

資金情報

本研究は日本腎臓財団、アステラス製薬株式会社、中外製薬株式会社、第一三共株式会社からの支援を受けて実施しました。

掲載誌情報

【発表雑誌】 Kidney International Reports
【論文名】 ABO Blood Types and Mortality in Patients Undergoing Hemodialysis
【著者】 Masafumi Kurajoh, Tetsuo Shoji, Shinya Nakatani, Yuki Nagata, Hisako Fujii, Yasuo Imanishi, Masanori Emoto, Tomoaki Morioka

【掲載URL】 https://doi.org/10.1016/j.ekir.2026.106558

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院医学研究科
講師 藏城 雅文(くらじょう まさふみ)
TEL:06-6645-3806
E-mail: masafumi-kurajoh[at]omu.ac.jp

※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:橋本
TEL:06-6967-1834
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp

※[at]を@に変更してください。

該当するSDGs

  • SDGs03