最新の研究成果
工学研究科 許 岩教授らの論文が「ACS Synthetic Biology」誌の表紙に採用
2026年7月24日
- 工学研究科
大学院工学研究科の武 士茗(Wu Shiming)氏(博士後期課程3年)、馬 群JSPS外国人特別研究員、許 岩教授と、東京大学の高井 まどか教授によるPerspective論文「Nanofluidics for pioneering synthetic biology of bottom-up cell-free molecular systems」が、米国化学会(ACS)が刊行する国際学術誌「ACS Synthetic Biology」に掲載され、2026年7月号の表紙に採用されました。
許教授の研究グループは、ナノメートルサイズの微小空間を利用するナノ流体デバイスを基盤として、ナノ・化学・システムを分子スケールで融合する新たな学術領域「ナノ化学システム工学」の創成に取り組んでいます。
合成生物学(Synthetic Biology)とは、生命を構成する分子や細胞を工学的な考え方に基づいて設計・構築・制御し、新しい生命機能や生命システムの創出を目指す学際分野です。近年では、人工細胞や細胞を使わないセルフリー分子システムの構築に加え、持続可能なものづくりや物質生産、医療、環境分野への応用が期待されています。
本論文では、ナノ流体デバイスを活用し、ナノメートルサイズの微小空間内で生命を構成する分子を1分子レベルで精密に輸送・配置・組み立てる、新たなボトムアップ・セルフリー合成生物学の概念を提案しました。従来のように分子が自然に集まる「自己組織化(Molecular Self-Assembly)」に依存するだけでなく、分子を意図した位置、順序、タイミングで能動的に組み立てる「分子アクティブアセンブリー(Molecular Active-Assembly)」という設計思想を提示しています。この構想は、人工細胞や人工組織の構築にとどまらず、天然の細胞を超える機能を持つ超細胞や、新たな生命様システムの創出につながる可能性があります。本論文は、次世代の合成生物学およびエンジニアリングバイオロジー(Engineering Biology)に向けた新たな研究指針となることが期待されます。
表紙イラストは、第一著者の武 士茗氏がデザイン・制作しました。ナノ流体デバイスの中で分子を積み木のように組み立て、人工細胞から、より高度な生命様システムへと発展していく未来を表現しています。

掲載誌情報
【発表雑誌】ACS Synthetic Biology
【論文名】Nanofluidics for Pioneering Synthetic Biology of Bottom-Up Cell-Free Molecular Systems
【著者】Shiming Wu, Qun Ma, Madoka Takai, Yan Xu*
【論文URL】https://doi.org/10.1021/acssynbio.6c00178
【表紙】https://pubs.acs.org/toc/asbcd6/15/7
資金情報
本研究は、文部科学省科学研究費助成事業(JP21H05231、JP19H04678、JP17H05468)、日本学術振興会科学研究費助成事業(JP21H04640、JP19KK0129、JP24KF0160)、2026年度大阪公立大学戦略的研究推進事業(国際研究拠点形成支援)(OMU-SRPP2026_IH01)の支援を受けて実施しました。
関連情報
大阪公立大学大学院工学研究科 物質化学生命系専攻 化学工学分野 ナノ化学システム工学グループ(許研究室)Webサイト
問い合わせ先
大阪公立大学大学院工学研究科
教授 許 岩(しゅう いぇん)
TEL:072-254-7813
E-mail:xuy[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
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