最新の研究成果
線虫の“生体分子の地図”を赤外線で可視化 ~タンパク質の構造分布を捉える新しいイメージング技術を開発~
2026年9月1日
- 理学研究科
- プレスリリース
発表のポイント
- モデル生物の線虫(C. elegans)を生きたまま赤外イメージングする技術を開発
- タンパク質や脂質など、生体分子の分布を非標識で可視化
- 赤外スペクトルの解析により、タンパク質の形(構造)の違いを生体内で可視化
- 将来的には、アルツハイマー病などタンパク質凝集が関わる疾患研究への応用が期待される
概要
名古屋工業大学工学専攻生命・物質化学プログラムの脇田 和佳氏(博士前期課程2年)、生命・応用化学類の錦野 達郎助教、古谷 祐詞准教授、大阪公立大学大学院理学研究科の小柳 光正教授、寺北 明久教授らの研究グループは、モデル生物として広く利用されている線虫(C. elegans)を生きたまま赤外イメージングし、タンパク質の構造分布を可視化する技術を開発しました。
研究グループは、赤外線による観察を妨げる水の影響を抑えるために重水を用いるとともに、アジ化ナトリウムによって線虫の運動を一時的に停止させるための条件を最適化しました。これにより、生きた線虫から高品質な赤外イメージを取得することに成功しました。さらに、得られた赤外吸収スペクトルを二次微分解析することで、タンパク質を形づくる代表的な構造であるαヘリックスやβシートと呼ばれる構造の違いを可視化しました。その結果、線虫の頭部では、他の部位と比べてβシート構造の割合が低いことが明らかになりました。
本研究は、蛍光色素などで標識することなく、生体内のタンパク質構造を可視化する新しい技術基盤となるものであり、将来的にはアルツハイマー病などの神経変性疾患研究への応用が期待されます。
本研究成果は、2026年8月26日に米国化学会のオープンアクセス誌ACS Omegaに掲載されました。
研究概要図
掲載誌情報
【発表雑誌】 ACS Omega
【論文名】 Minimally Invasive Infrared Imaging of Caenorhabditis elegans Enabled by Reversible Chemical Immobilization and Second-Derivative Spectral Mapping
【著者】 Nodoka Wakita, Akiko Ito, Ryu Sato, Akihisa Terakita, Tatsuro Nishikino, Mitsumasa Koyanagi, and Yuji Furutani* *責任著者
【掲載URL】
https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acsomega.6c03485
https://doi.org/10.1021/acsomega.6c03485
研究内容に関する問い合わせ先
大阪公立大学大学院理学研究科
教授 小柳 光正(こやなぎ みつまさ)
TEL:06-6605-2583
E-mail:koyanagi[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
報道に関する問い合わせ先
大阪公立大学 広報課
TEL:06-6967-1834
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
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