最新の研究成果

高齢者における電力使用データに基づくフレイルリスクと生活空間、健康関連QOLおよび身体機能との季節別の関連を検討

2026年9月2日

  • リハビリテーション学研究科

概要

高齢者の身体・精神機能には季節変動がみられることが知られていますが、フレイル※1リスクと健康関連指標との関連が季節によって異なるかについては十分に明らかになっていません。

リハビリテーション学研究科の辻中 椋氏(博士後期課程3)と樋口 由美教授らの研究グループは、大阪市内の集合住宅に住まう独居高齢者を対象に、家庭の電力使用データから算出したフレイルリスクと、健康関連指標である生活空間、健康関連QOL※2、身体機能との関連を季節別に検討しました。

2023年10月から2024年9月までの12か月間の家庭の電力使用データから、起床時刻、就寝時刻、外出時間などの日常生活パターンに基づくFrailty Risk Index※3を月ごとに算出しました。また、2024年10~11月に対面調査を実施し、生活範囲をLife-Space Assessment(LSA)※4、健康関連QOLをEQ-5D-5L、身体機能をTimed Up and Go(TUG)test※5などにより評価しました。

結果として、解析対象となった14名において、冬季のFrailty Risk Indexが高いほど、生活範囲が狭く、健康関連QOLが低いという関連を支持する結果が得られました。一方、TUGで評価した身体機能との関連を支持する十分なエビデンスは認められませんでした。また、春季、夏季、秋季では、Frailty Risk Indexと健康関連指標との関連を支持する十分なエビデンスは認められませんでした。

本研究から、電力使用データを用いたフレイルリスクのモニタリングは、特に冬季における季節性のフレイル変化を把握するための補完的な方法となる可能性が示されました。

本研究成果は、2026年6月15日に「mHealth」にオンライン掲載されました。

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資金情報

本研究は、国土交通省「令和6年度 共創・MaaS実証プロジェクト」に採択された「スマートモビリティ×スマートエイジングシティ共創実証プロジェクト」の一環として実施されました。

用語解説

※1 フレイル:加齢に伴って心身の機能や生活する力が低下し、健康な状態と要介護状態の中間にある状態を指す。筋力や体力の低下だけでなく、認知機能や気分、社会とのつながりなど、さまざまな要因が関係する。

※2 健康関連QOL(HRQoL):健康に関連した生活の質を示す概念。本研究ではEQ-5D-5Lを用いて評価した。EQ-5D-5Lは、移動の程度、身の回りの管理、ふだんの活動、痛み・不快感、不安・ふさぎ込みの5領域から健康状態を評価する尺度。

※3 Frailty Risk Index(フレイルリスク指数):e-Frail Naviという、中部電力株式会社が開発したAIシステムで、独居者の家庭の電力使用データから日常生活パターンを解析し、フレイルリスクを0~100点で算出する。得点が高いほどフレイルリスクが高いことを示す。

※4 Life-Space Assessment(LSA:生活範囲に関する評価):日常生活において「自宅内」「自宅敷地内」「近隣」「町内」「町外」のどの範囲まで移動しているかを、移動頻度や介助の必要性とあわせて評価する指標。得点は0~120点で、高いほど生活空間が広いことを示す。

※5 Timed Up and Go(TUG)test:椅子から立ち上がり、3m歩いて方向転換し、再び椅子まで戻って座るまでの時間を測定する身体機能評価。

掲載誌情報

【発表雑誌】mHealth

【論 文 名】Season-specific associations between electricity-based frailty risk and life-space mobility, health-related quality of life, and physical function in older adults

【著    者】Ryo Tsujinaka, Yumi Higuchi, Aki Gen, Tetsuya Ueda, Haruka Adachi

【掲載URL】https://dx.doi.org/10.21037/mhealth-2026-0013

お問い合わせ

大阪公立大学大学院リハビリテーション学研究科
教授 樋口 由美(ひぐち ゆみ)
Email:higu_reha[at]omu.ac.jp
[at]@に変更してください。

該当するSDGs

  • SDGs03