医学部TRENDY Vol.01

肝線維化治療薬の開発を目指して

肝胆膵病態内科学 河田 則文 教授 (医学研究科長・医学部長)

肝線維化は、進行すると肝硬変にまで至る病態で、肝不全や肝がんの発生に大きく関わっています。私たちの研究グループは、肝臓がさまざまな原因により慢性の炎症を起こしている時に、コラーゲンなど線維化分子を生産する星細胞内に発現するタンパク質『サイトグロビン』が持つ抗線維化作用に注目し研究を行っています。
既に肝線維化モデルマウスでは、サイトグロビンを静脈注射することで肝線維化が改善されることを明らかにしており、サイトグロビンを用いた脱線維化治療法確立に向けて、大動物を用いた試験ののち、ヒトへの臨床試験へと進め製剤化を目指しています。

肝線維化のメカニズム

日本の医療をアジア諸国へ

肝胆膵病態内科学講座では国際性を重視し、国際交流を盛んに行っています。特にベトナムからの留学生を多く受け入れており、現在6名の留学生が所属しています。ベトナムの病院では、最新の医療機器は準備されていても、操作の仕方がわからない・うまく使いこなせないというケースは少なくありません。そのため、医学博士を日本で取得することに加えて、日本の最新の医療を学びたいと考えている若手医師は多いのです。ベトナムでは肝癌で死亡する方が既に多く(アジアで3位)、20年後、30年後にはさらに増加することが予想されるため、日本の予防医学や最新の診断法・治療法を学んでもらうことで、ベトナムの医療の発展に貢献できればと考えています。

肝胆膵病態内科学 河田 則文 教授 (医学研究科長・医学部長)

趣味

美味しいレストランを探すことカウンターに座ってシェフとお話しができるお店によく行っています

特技

国内外問わず誰とでもある程度仲良くなれること
ゴルフ場で初めて出会った人と意気投合することも…!

大切にしている言葉

ユニーク、独自性、自分らしさ、楽しむ、ブレない

取材対応可能なテーマ

肝線維化、肝硬変、肝炎、肝癌、NAFLD・NASH、ゲノム医療、国際共同研究

肝胆膵病態内科学 河田 則文 教授

日本内科学会専門医
日本消化器病学会専門医・指導医
日本肝臓学会専門医・指導医
ハノイ医科大学 名誉教授

 2023年4月発行