医学部TRENDY Vol.03
すべての人々(公衆)の健康(生)をまも(衛)る
公衆衛生学 福島 若葉 教授
私が専門とする公衆衛生学は、病気をお持ちの患者さんだけでなく、未病の方も含めた「すべての人々の健康」の維持・向上を目的としています。そのため、疫学という手法を使い、ヒト集団を対象に健康事象を解き明かす研究を行っています。
主な研究テーマはワクチンと難病で、ワクチンについては市販後の有効性と安全性の評価を行っています。厚生労働省研究班の班員として、インフルエンザワクチンや新型コロナワクチンの有効性研究を継続しており、HPVワクチンについては2016年に安全性に関する全国疫学調査を主導しました。
日本疫学会では疫学リテラシー普及促進の活動にも携わっています。ワクチンの有効性や安全性の考え方をはじめ、「この疫学指標はどういう意味?」「この研究から、どこまで言えるの?」など、素朴な疑問にもお答えできればと思います。
ワクチンTOPICS
2022年秋以降、新型コロナワクチンの接種政策は、「〇回目接種」ではなく、「令和4年秋開始接種」など、「期間を区切って接種機会を設ける」という考え方に移行し、2023年5月8日以降は令和5年春開始接種が始まっています。他のワクチンについても、2023年3月に経鼻インフルエンザワクチンや5種混合ワクチンが承認され、4月には9価HPVワクチンが定期接種化されるなど、状況は目まぐるしく変化しています。正しい知識とともに接種について考えていただくため、メディアの皆さんとの協働がますます重要になると感じています。
医学部広報委員長より
福島若葉教授のご専門である公衆衛生学は、これまで新型コロナウイルス感染症への対応に対して疫学的観点からさまざまな提案や意見を出していただいておりました。コロナが5類感染症に移行された今、ワクチンの有用性や安全性を含めたさまざまな検証が必要となってくることが予測されます。軽音楽部出身の福島教授の音楽を奏でるように、またフィギュアスケート鑑賞が趣味であることから氷上を滑るような切り口で、コロナ禍を検証していただけると思います。
公衆衛生学 福島 若葉 教授
社会活動
- 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 委員
- 厚生科学審議会 科学技術部会 委員
- 厚生労働省 ワクチン生産体制等緊急整備事業評価委員会 委員
- 日本疫学会 広報委員会 副委員長 兼
疫学リテラシー普及促進ワーキンググループ長
意外な一面
- 学生時代は軽音楽部に所属 キーボードを担当。現在は医学部軽音楽部の顧問。
- フィギュアスケートを見るのが大好き。伊藤みどりの時代から祖母や母と一緒にテレビの前で応援していたガチファンです。
取材対応可能なテーマ
ワクチンの疫学、難病の疫学、ワクチンの有効性や安全性の考え方、
疫学研究で用いられる指標や結果の解釈に関すること

日本公衆衛生学会認定専門家
日本疫学会認定上級疫学専門家
2023年5月発行