医学部TRENDY Vol.04

雑音下における音声言語認知の脳機能の違いに着目

耳鼻咽喉病態学 角南 貴司子 教授

私の専門は『めまい』に関する臨床研究。これまでも、めまいとストレスの関係性など、さまざまな切り口からめまいの研究に取り組んできました。
また基礎研究では、高齢者の患者さんから「テレビを見ていると音は聞こえているけど、何を言っているのか理解できない」という相談を受けることが増えたことがきっかけで、脳磁図計を用いて若年者と高齢者の音声言語認知に関わる脳機能の違いについて明らかにする研究にも取り組んでいます。
さらに耳鼻咽喉病態学では、比較的新しい症状である聴覚情報処理障害(APD)や聞き取り困難症(LiD)についても最先端の研究を行っています。

音声言語認知に関わる認知機能の違いを表した図

耳鼻咽喉科TOPICS

見逃されがちな片頭痛とめまいの関連

梅雨時期に症状を感じることが増える『めまい』。そんなめまいを引き起こす疾患はさまざまですが、実は片頭痛とも関連があることが近年明らかとなりました。めまいと頭痛が同時期に発症することがないため、見逃されることが多くありますが、めまいの原因が実は前庭性片頭痛ということは少なくありません。

低侵襲な新しい耳の手術法をスタート

耳鼻咽喉科では、これまで主流であった顕微鏡下手術に加えて、『経外耳道内視鏡下耳科手術』に取り組んでいます。顕微鏡下手術では、耳の後ろにメスを入れて骨を削る必要がありましたが、内視鏡手術では手術する切開ラインが外耳道内のみなので非常に低侵襲で、身体への負担が少ないとされています。

医学部広報委員長より

私もかつて『めまい』に罹患した経験があります。頭の位置を変えると目の前がグルグルと回る回転性のめまいで良性発作性頭位めまい症と診断されました。突然その症状が出た時はとても不安で形成外科医という職業を諦めなければならないと思ったくらいです。耳鼻咽喉科で治療をしていただき劇的に改善しました。担当して下さった担当医が神様に見えました。角南教授率いる耳鼻咽喉病態学教室がさまざまなアプローチでこれらの病態解明や治療法の開発を行なっております。『めまい』のみならず、APDやLiDで困っておられる多くの患者さんに福音の訪れが来ることを期待しております。

耳鼻咽喉病態学 角南 貴司子 教授

趣味
  • 家庭菜園
    農場を借りて、広大な麦畑のお手入れをしていたことも!
  • 愛犬のミニチュアシュナウザーと一緒に過ごす
好きな言葉

北 冥 有 魚 , 其 名 為 鯤 。 鯤 之 大 , 不 知 其 幾 千 里 也 。
化 而 為 鳥 , 其 名 為 鵬 。 鵬 之 背 ,不 知 其 幾 千 里 也 。
怒 而 飛 , 其 翼 若 垂 天 之 雲 。 是 鳥 也 , 海 運 則 將 徙
於 南 冥 。 南 冥 者, 天 池 也 。( 荘子 逍遥遊編)

取材対応可能なテーマ

めまい、メニエール病、突発性難聴、音声機能障害、アレルギー性鼻炎、頭頸部腫瘍、内視鏡下耳科手術

角南 貴司子 教授

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会耳鼻咽喉科指導医、専門医
日本耳科学会耳科手術暫定指導医
補聴器適合判定医

 2023年6月発行