医学部TRENDY Vol.10

全国でも稀な、糖尿病・腎臓病のシームレス医療

代謝内分泌病態内科学・腎臓病態内科学 繪本 正憲 教授

世界の成人糖尿病患者数は年々増加しており、日本も例外ではありません。日本においては約2,000万人、6人に1人が糖尿病かその予備軍と推定されています。糖尿病はインスリンの分泌量減少や、インスリンの働きが悪くなることで血糖値が上昇して発症します。要因はさまざまで、過食・運動不足・肥満・ストレスなどの生活習慣や遺伝・加齢などが挙げられます。

糖尿病を長く患うと合併症を引き起こす可能性があり、その一つとして糖尿病性腎症があります。糖尿病性腎症が悪化すると、まず腎臓からタンパク質が漏れ出てきます。さらに悪化するとむくみや息切れ、胸苦しさ、倦怠感などの自覚症状が現れ、尿毒症にいたると透析治療が必要になります。

私が所属する代謝内分泌病態内科学・腎臓病態内科学は、糖尿病専門医と腎臓専門医・透析専門医が同じ講座(医局)にあり、シームレスに治療・研究を行っている全国でも数少ない教室です。私たちは糖尿病治療から、早期腎症・末期腎不全・透析療法まで一貫した糖尿病関連腎臓病のケア・治療を行っています。

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糖尿病診療の最先端ツール

糖尿病診療でもIT化が進んでいます。これまで、患者さん自身による血糖自己測定は、指先に細い針を刺し、ごく少量の血液から簡便な測定器を用いて行っていました。最近は、皮膚にコイン大のセンサーを装着することにより、皮下の血糖を継続的にモニターできる『持続血糖モニター』の使用が広まっています。糖尿病患者は自分の血糖をタイムリーに把握できるだけでなく、主治医とデータを共有することで、1日の血糖の変化と食事や身体活動の生活習慣に基づいた治療を行うことが可能です。さらにモニターとインスリンポンプを連動させることにより、血糖に応じて自動でインスリンを体内に注入することもでき、血糖コントロールやインスリン量の決定に画期的な最先端ツールとして注目が集まっています。本学医学部附属病院の生活習慣病・糖尿病センターでは、これらITツールによる療養指導の外来も行っています。

代謝内分泌病態内科学・腎臓病態内科学 繪本 正憲 教授 

趣味
  • 映画鑑賞
  • 読書
    (好きな作家は真山 仁)
取材対応可能なテーマ

糖尿病、糖尿病性腎症、糖尿病治療薬、慢性腎臓病、透析医療

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日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・研修指導医
日本糖尿病学会専門医・研修指導医
日本肥満学会肥満症専門医・指導医
日本透析医学会専門医・指導医
日本腎臓学会専門医

 2023年12月発行