最新の研究成果

AMED『橋渡し研究プログラム異分野融合型研究開発推進支援事業』に2件の研究課題が採択

2022年9月2日

  • 農学研究科
  • 獣医学研究科
  • 生活科学研究科

国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)による「2022年度橋渡し研究プログラム異分野融合型研究開発推進支援事業(支援機関:大阪大学)」に、本学を研究代表とする二つの研究課題が採択されました。

研究課題名:宿主の腸炎を抑制する分散接着性大腸菌の分泌物を利用した薬剤開発への可能性検証

【概要】
近年増加の一途をたどる炎症性腸疾患の発症や病態には腸内細菌叢が密接に関わることが示唆されており、腸内細菌を利用した制御も試みられている。私たちは、下痢原性などの負の側面が議論されることの多い分散接着性大腸菌の中に、腸の炎症を抑制しうる菌株群が存在することを発見した。特に、健康者便から分離され、高い炎症抑制能を有するSK1144株に焦点を絞った解析により、本菌株の炎症抑制作用に菌分泌物が関与する可能性が示唆された。採択課題では、本菌株が分泌する炎症抑制エフェクターの分子実体解明を行い、菌分泌物を利用した腸炎抑制のための新たな創薬開発を目指す。

nakadai_220905

中台 枝里子教授
(生活科学研究科)

研究課題名:細胞の液液相分離現象にフォーカスした新規治療薬の開発

【概要】

細胞は低酸素状態になると、解糖系酵素群が細胞質内で凝集することが知られてきた。膜構造を持たず機能する液液相分離現象は生物学における最近のホットトピックであり、基礎生物学のみならず疾患の病態研究においても注目されている。本学では、低酸素条件で凝集するある特定の解糖系酵素に着目し、その凝集を阻害する新規化合物を創製した。その凝集阻害剤はマウス脳卒中モデルにおいて、酵素の凝集を阻害し、脳梗塞および神経麻痺に対する治療効果を示すことがわかっている。一方、低酸素や酸化ストレスによる病態は脳卒中以外にも、慢性の神経変性疾患や、がん、糖尿病関連疾患などでも見られる。そこで本研究課題では、創製した阻害剤について慢性疾患に対する適応拡大を進めるため、経口投与による薬物動態試験を実施し、がんなどの慢性の病態モデルを用いた薬効試験へと展開する予定である。

miura_220905

研究代表者
三浦 夏子助教
(農学研究科)

nakajima_220905

研究分担者
中嶋 秀満准教授
(獣医学研究科)

お問い合わせ先
 学術研究推進本部 URAセンター
 072-254-9128

該当するSDGs

  • SDGs03