最新の研究成果

野菜たっぷり、バランス良く…で大丈夫?? パラアスリート特有の栄養課題が明らかに ~栄養士による指導方法の確立に向けて~

2022年9月28日

  • プレスリリース
  • 研究推進機構

ポイント

◇下肢に障がいがあり、国際レベルで活躍する現役パラアスリートを対象とした食事と栄養に関するインタビュー調査を実施

◇パラアスリートが理想と考えている食事は必ずしも競技力向上のために望ましい食事であるとは限らない。一方、たとえ真に望ましい
 食事を理解していたとしても、実践に際しては障がいの特性によってさまざまな障壁がある

◇パラアスリートが食事と栄養に関して抱える懸念や葛藤を十分に理解した栄養士が、スポーツ栄養の実践に向けてサポートすることが
 重要

概要

大阪公立大学 都市健康・スポーツ研究センター 横山 久代(よこやま ひさよ)教授、生活科学研究科 出口 美輪子(でぐち みわこ)特任助教、本宮 暢子(ほんぐう のぶこ)特任教授らの研究グループは、下肢に障がいがあり、国際レベルの競技会へ参加する現役の選手ならびにパラスポーツ競技の健常者トレーナー計7名を対象として、「競技力向上のために理想的だと考える食事」「自身の食事評価」「支援者としての栄養士の位置づけ」について、インタビュー調査を行い、回答内容の計量テキスト分析※1を実施しました。

健常アスリートの場合、エネルギー源となる炭水化物、たんぱく質、脂質等の摂取を重要視する傾向にありますが、本研究では、ほぼすべての対象者が、野菜を多く含み、栄養バランスに偏りのない食事が競技力向上のために理想的であると回答しました。その背景には、競技力向上への効果よりも、「日常生活での車いす操作に支障をきたしたくない」「生活習慣病を発症したくない」などという意識から、食事摂取量を控えている実態があると考えられます。

本研究結果より、パラアスリートが「理想的」だと考える食事が必ずしも競技力向上のために望ましい食事であるとは限らず、また、たとえ真に望ましい食事を理解していたとしても、実践には障がいの特性によってさまざまな障壁があることがわかりました。さらに、パラアスリートが抱える懸念や葛藤を十分に理解した栄養士が、彼らと良いパートナーシップを結び、スポーツ栄養の実践に向けてサポートすることが重要であると考えられます。

本研究成果は、202299日、「Nutrients」にオンライン掲載されました。



見るものを魅了する、パラアスリートのプレーへの底知れぬ情熱。彼らの頑張りが実を結ぶための医科学的なエビデンスが、最近はたくさん集まってきています。しかし、栄養面からサポートするための取組みについてはまだまだ余地が残されています。今後は研究成果を発展させ、栄養実践方法の構築だけでなく、パラスポーツの魅力を高めるために貢献したいと思っています。

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横山教授 本宮特任教授 出口特任助教

資金情報

本研究は、科研費:基盤C22K11529)および文部科学省補助事業「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(牽引型) 2021年度連携型共同研究助成の対象研究です。

掲載紙情報

発表雑誌: Nutrients
論 文 名: The Role of Diets and Dietitians for Para-Athletes: A Pilot Study Based on Interviews
著     者: Hisayo Yokoyama, Miwako Deguchi and Nobuko Hongu
掲載URL: https://www.mdpi.com/2072-6643/14/18/3720 


プレスリリース全文 (1.2MB)

研究内容に関する問い合わせ先

都市健康・スポーツ研究センター
教授: 横山 久代(よこやま ひさよ)
TEL:06-6605-2947
E-mail:yokoyama_hisayo[at]omu.ac.jp [at]を@に変更してください

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp [at]を@に変更してください

該当するSDGs

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