最新の研究成果

ウェアラブルデバイスで自律神経活動を測定 交感神経が排便前後の病態に関与 - 過敏性腸症候群の病態解明に期待 -

2022年12月22日

  • プレスリリース
  • 医学研究科

本研究のポイント

◇過敏性腸症候群(IBS; irritable bowel syndrome)患者は、交感神経活動が排便2分前から活性化し、排便9分後まで持続することが明らかに。

◇ウェアラブルデバイスを使用し自律神経活動を24時間記録するとともに、独自開発のスマートフォンアプリを用いて、排便など生活イベントや腹部症状を同時に記録。

◇交感神経が排便前後の病態に関与していることが明らかとなり、さらなる病態解明に繋がることが期待。

概要

大阪公立大学大学院医学研究科 消化器内科学の田中 史生准教授らの研究グループは、IBS患者と健常者を対象に、ウェアラブルデバイスを用いて自律神経活動を記録するとともに、排便や睡眠などの生活イベントを独自開発したスマートフォンアプリで記録した結果、IBS患者は、交感神経活動が排便2分前から活性化し、排便9分後まで持続していることを見出しました。
IBSとは、排便に関連した腹痛が慢性的に存在する病気で、根本治療が難しく、QOL(生活の質)の低下をもたらすことが社会的な問題となっています。これまで、IBSの病態に自律神経の異常が関係しているとの報告はありましたが、心電図検査を利用しているため24時間での測定結果に基づく評価をしているものが多く、排便時の変化を調べた報告はありませんでした。本研究により、交感神経が排便前後の病態に関与していることが明らかとなり、IBS患者のQOLの向上や病態解明に繋がることが期待されます。
本研究成果は2022年12月9日に、国際学術誌『PLOS ONE』にオンライン掲載されました。

本研究の特徴として、衣類型のウェアラブルデバイスを用いて自律神経機能を測定していることと、独自開発をしたスマートフォンアプリを用いて排便などの生活イベントや腹部症状を同時にリアルタイムで入力していることが挙げられます。
そうすることにより、排便時の自律神経機能を正確に評価することが出来る点が斬新であると考えます。

reserch_1222

田中 史生准教授

掲載誌情報

【発表雑誌】PLOS ONE
【論 文 名】Analysis of autonomic function during natural defecation in patients with irritable bowel syndrome using real-time recording with a wearable device
【著  者】Rieko Nakata, Fumio Tanaka, Noriaki Sugawara, Yuichi Kojima, Toshihisa Takeuchi, Masatsugu Shiba, Kazuhide Higuchi, and Yasuhiro Fujiwara
【掲載URL】https://doi.org/10.1371/journal.pone.0278922

プレスリリース全文 (486.1KB)

資金情報

本研究は合同会社ウェルネスオープンリビングラボの研究費助成に基づき実施されています。

問い合わせ先

【研究内容に関する問い合わせ先】
医学研究科 消化器内科学
准教授 田中 史生(たなか ふみお)
E-mail:tanaka.f[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

【報道に関する問い合わせ先】
広報課 担当:久保
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

該当するSDGs

  • SDGs03