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日本基準では厳しすぎる!?在留外国人妊婦への体重増加指導は日本独自基準より国際基準IOMを適応させる可能性を示唆

2023年1月13日

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取り組みのポイント

◇外国人労働者や技能実習生等の増加に伴い、日本で出産する外国人妊婦が増加

◇妊娠中の過剰な体重増加は様々な周産期リスクに関連するため、外国人妊婦にも体重増加指導が行われているが、多くは日本産科婦人科学会の体重増加指導の目安が適応されている

◇今回の調査を経て、文化的背景や食生活、体格などを考慮した上で、日本独自の目安ではなく国際基準IOM(Institute of Medicine)を適応させる可能性を示唆

概要

大阪公立大学 看護学研究科 髙 知恵講師らの研究グループは、在留外国人妊婦と日本人妊婦の体重増加指導基準に着目し、2019年~2020年に日本で出産をした外国人妊婦170人(すべての対象者がアジア地域出身者)と日本人妊婦316人に対し、妊娠時の体重増加や分娩様式、新生児体重の調査・比較分析をしました。日本の外国人労働者の受入は年々増えており、それに伴い、若い世代の外国人労働者が日本で結婚・出産するケースも増加しています。一般的に、妊娠時の大幅な体重増加は胎児が大きくなりやすく出産時のリスクが高いため、日本では日本産科婦人科学会ガイドラインに準拠した体重増加指導が行われています。また、この指導の目安は国際基準であるIOM(Institute of Medicine)より厳しく設定されています。
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今回の調査では外国人妊婦は日本人妊婦より体重増加量が高く、日本産科婦人科学会の目安では約40%が過剰群に入るものの、分娩様式や新生児体重に対する明らかな相違はみられませんでした。このことから外国人妊婦に対する体重指導は、文化的背景や食生活、体格などを考慮し、国際基準であるIOMを適応させる可能性を示唆しました。
本研究成果は、2023年1月12日、日本国際保健医療学会「Journal of International Health」に掲載されました。

研究者プロフィール

大阪府立看護大学で助産師・看護師・保健師免許取得。
大阪府内の病院で、助産師として勤務。
現在は、大阪公立大学大学院看護学研究科で母性看護学・助産学を担当している。
在日コリアン女性支援、在留外国人妊産褥婦支援など、在留外国人女性への支援を主な研究テーマとしている。
2023年4月には、国際臨床医学会認定の日本国際看護師資格取得予定。

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 知恵講師

 

掲載誌情報

雑誌名  :

Journal of International Health(日本国際保健医療学会)
論 文 名: Differences in gestational weight gain in accordance with Japanese and Institute of Medicine guidelines between Japanese and non-Japanese Asian pregnant women at a perinatal medical center in Japan
著     者: Chie Koh, Takako Chiba, Ryoko Yoshida, Misato Kato, Maho Mori, Akiko Morimoto, Yukari Nakajima, Kanako Yamada, Miho Furuyama, Minako Saho, Kaori Watanabe
掲載URL: https://doi.org/10.11197/jaih.37.179

プレスリリース全文 (549.7KB)

補足説明

本研究は、本学と社会福祉法人石井記念愛染園附属愛染橋病院との共同研究です。

研究に関する問い合わせ先

看護学研究科
講師:髙 知恵
TEL072-950-2801
E-mailkohchie[at]omu.ac.jp ※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

広報課 担当:田中
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

該当するSDGs

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