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マルチラベル識別問題においてデータとラベルの継続学習を実現!人工知能の新たなデータ学習手法を開発

2023年1月13日

  • プレスリリース
  • 情報学研究科

ポイント

◇マルチラベル識別問題において、データとラベルの継続学習が可能な手法を提案。
◇「識別性能」と「継続学習能力」を両立する手法を提案し、数値実験により従来手法に対する優位性を示す。
◇データの継続学習能力により、ビッグデータの前処理を行うツールとしての活用も可能。 

概要

大阪公立大学大学院 情報学研究科の増山 直輝准教授、能島 裕介教授らの研究グループは、複数の情報(ラベル)を持つデータの「識別性能」と「データを継続的に学習する能力」を両立した、新しい学習手法を開発しました。また、本手法が従来手法に対して優位性を示すことを、実世界マルチラベルデータを用いた数値実験により明らかにしました。

IoT技術の発展に伴い、容易に収集可能となったビッグデータの活用方法として人工知能技術が注目されています。多くの従来研究では、データとそのデータに対応する単一の情報(ラベル)の関係性の学習を主眼としています。しかし、実際的なデータ、例えば1枚の風景写真の中には「空」、「山」、「雲」といった複数のラベルが含まれますが、このようなデータと複数のラベルの関係性の学習を行う手法は十分に研究されていません。また、近年の人工知能には、継続的に入手した大量のデータを効率的に学習するために、過去に学習した知識を損なわずに新しい知識を継続的に学習できる能力も求められますが、これらを両立する手法はありませんでした。

本研究の提案手法は、アルゴリズムがシンプルなため、発展型の考案や他のアルゴリズムとの統合を容易に行うことができます。また、データ間の類似度に基づいてデータをグループ分けするクラスタリング法が根幹となっているため、継続的にビッグデータの前処理を行うツールとしての活用が期待できます。

本研究成果は、国際学術誌「IEEE Transactions on Pattern Analysis and Machine Intelligence」のオンライン速報版に、2022年12月19日に掲載されました。

IoT技術の発展に伴うビッグデータ社会において、人工知能によるデータの効率的な利活用の実現は非常に重要です。
本研究の提案手法は、データとラベル情報が一対多の関係にあるマルチラベルデータを継続的に学習可能であり、今後のさらなるビッグデータ社会において人工知能に求められる能力を有していると考えています。

masuyama teacher

増山 直輝准教授

掲載誌情報

【発表雑誌】IEEE Transactions on Pattern Analysis and Machine Intelligence(IF=24.314)
【論 文 名】Multi-label Classification via Adaptive Resonance Theory-based Clustering
【著  者】N. Masuyama, Y. Nojima, C. K. Loo, and H. Ishibuchi
【掲載URL】https://doi.org/10.1109/TPAMI.2022.3230414
プレスリリース全文(1.6MB)

資金情報

本研究の一部は、平成29年度文部科学省卓越研究員事業および日本学術振興会科学研究費助成事業(課題番号:JP22K12199)からの支援を受けて行われました。

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院 情報学研究科

准教授 増山 直輝(ますやま なおき)
TEL:072-254-9825
E-mail:masuyama[at]omu.ac.jp ※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:竹内
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp ※[at]を@に変更してください。

該当するSDGs

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