最新の研究成果

身近な食品で健康長寿社会を実現 納豆菌摂取で寿命延伸&ストレス耐性が向上!

2023年4月25日

  • プレスリリース
  • 生活科学研究科

ポイント

◇納豆菌を与えた線虫は標準餌を与えた線虫と比較して、寿命が有意に延伸。
◇寿命延伸作用には、自然免疫や寿命に関わることが知られているシグナル伝達経路が関与。
◇納豆菌を与えた線虫は、紫外線および酸化ストレスに対する抵抗性が向上。

概要

大阪市立大学大学院生活科学研究科 寺本 奈央氏(2022年前期博士課程修了)、大阪公立大学大学院生活科学研究科 和田崇之教授、中台(鹿毛)枝里子教授らの研究グループは、線虫Caenorhabditis elegansCelegans)を用いて納豆菌が宿主の寿命に与える影響を検証した結果、納豆菌を与えた線虫の方が、標準餌を与えた線虫よりも寿命が有意に延伸することを明らかにしました。また、納豆菌による寿命延伸作用には、自然免疫や寿命に関わることが知られるp38 MAPK経路やインスリン/IGF-1様シグナル伝達経路が関与していることもわかりました。

さらに、寿命との相関が指摘されているストレス耐性についても検討を行ったところ、紫外線および酸化ストレスに対する抵抗性が向上することも明らかになりました。

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納豆菌(宮城野スターター由来株)は自然免疫や寿命に関連する生体経路を介して線虫の寿命を延伸し、また一部のストレス耐性を向上させる

本研究により、納豆菌による寿命延伸効果とその仕組みの一端が明らかとなり、今後哺乳動物における実験や疫学研究を行うことで、ヒトへの応用が可能になれば健康長寿社会実現の一助となることが期待されます。

本研究成果は、2023年4月20日、国際学術誌「Journal of Applied Microbiology」にオンライン掲載されました。

古くから日本に馴染みのある納豆ですが、今回線虫をモデル生物として用いることで、納豆菌の摂取による寿命延伸効果の可能性を初めて示すことができました。この研究が、食を介した健康長寿社会の実現に少しでも寄与できれば嬉しく思います。

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寺本 奈央氏

資金情報

本研究は全国納豆協同組合連合会 第4回納豆研究奨励金からの研究助成を受けて行われました。

掲載誌情報

【発表雑誌】Journal of Applied Microbiology
【論文名】Impacts of Bacillus subtilis var. natto on the lifespan and stress resistance of Caenorhabditis elegans
【著者】Nao Teramoto, Kanae Sato, Takayuki Wada, Yoshikazu Nishikawa,Eriko Kage-Nakadai
【掲載URL】https://doi.org/10.1093/jambio/lxad082

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院 生活科学研究科
教授 中台(鹿毛) 枝里子
E-mail:nakadai[at]omu.ac.jp

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:上野
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp

該当するSDGs

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