最新の研究成果

医学研究科 教員の研究開発課題4件がAMEDに採択

2023年6月8日

  • 医学研究科

医学研究科の大谷 直子教授、濱崎 考史教授、加来 奈津子講師、山岸 良多助教による以下の研究開発課題4件が、国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)が公募した各事業に採択されました。

革新的がん医療実用化研究事業

採択研究課題

がん進展過程における疑似時間解析を利用したがん微小環境構成細胞間のネットワーク解明と新規治療標的の探索

医学研究科 病態生理学 大谷 直子教授 

がんが進展していく過程では、抗腫瘍免疫担当細胞の疲弊や腫瘍血管の増生など、がん特有の微小環境の変化が認められます。本研究では、マウスモデルとヒトのNAFLD/NASH関連肝がん組織を用いて、シングルセル・トランスクリプトーム解析を実施し、さまざまながん進展過程における疑似時間解析とインタラクトーム解析を組み合わせた独自の情報解析手法を実施します。この手法によりNAFLD/NASH関連肝がんの進展に特徴的な細胞間相互作用を捉えると同時に、抗腫瘍免疫の活性化や治療開発に繋がる新規分子標的を同定し、その有効性をマウスモデルで検証します。

研究者情報

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難治性疾患実用化研究事業(ゲノム・データ基盤 、疾患基礎研究)

採択研究課題

新生児マススクリーニング対象疾患等の遺伝学的診断ネットワークと持続可能なレジストリを活用したリアルワールドエビデンス創出研究

医学研究科 発達小児医学 濱崎 考史教授

新生児マススクリーニングは、先天性の希少難病の一つであるフェニルケトン尿症を早期発見し、治療を開始するために開発され、本邦では欧米に遅れることなく、1977年から当初6疾患で開始されました。その後の分析技術等の進歩により、現在ではその対象疾患は20疾患を超え、さらに対象疾患を拡大する活動を行っています。しかしながら、対象疾患は個々に希少であるため、専門医は限られ、発見後の経過についても把握できる公的な仕組みはありません。本研究では、厚労省難病研究班、こども家庭庁研究班等とも連携しながら、診療ネットワークを形成し、正確な診断、遺伝子型に基づく予後予測、個別化した治療の選択を行うためのエビデンスを創出できる持続可能な基盤を構築し、新生児マススクリーニング対象疾患のさらなる予後の改善を目指します。

研究者情報

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新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業

採択研究課題

天然痘ワクチン接種後免疫におけるサル痘感染防御能の現状把握

医学研究科 寄生虫学 加来 奈津子講師

太古より人類の脅威であった天然痘が地球上から根絶された1970年代、サル痘(エムポックス)のヒト感染が初めて確認されました。以来アフリカエンデミックな感染症であったサル痘は、2022年以降日本を含む世界的感染症へと伝播を拡大しています。本研究は、サル痘にも有効とされる天然痘ワクチン接種施策が終了して40年以上経過し、集団免疫が低下しつつある現在において、獲得免疫の多角的・網羅的解析によるサル痘感染防御能の現状把握と感染防御に関わる分子基盤同定を目的としています。

研究者情報

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肝炎等克服実用化研究事業

採択研究課題

運動による肝がん抑制分子メカニズムの解明:運動効果を模倣する治療法の開発

医学研究科 病態生理学 山岸 良多助教

脂肪肝を素地とするNASH関連肝がんは、近年著しい増加傾向にあり、その発症・進展の予防法・治療法の開発が求められています。一方で、規則的な運動は、がんの予防や進行抑制に有効であることが示唆されておりますが、その分子メカニズムは十分にわかっていません。本研究では、メタボローム解析やシングルセルRNA-seq解析などを用いた複合オミックス解析によって、運動による骨格筋や腸内細菌叢での代謝変化に基づく抗腫瘍メカニズムを解明し、NASH関連肝がんの治療法開発に繋げることを目指します。

研究者情報

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関連情報

令和5年度 「革新的がん医療実用化研究事業」(一次公募)の採択課題について

令和5年度 「難治性疾患実用化研究事業(ゲノム・データ基盤 、疾患基礎研究)」の採択課題について

令和5年度 「肝炎等克服実用化研究事業」の採択課題について

令和4年度 「新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業」に係る追加公募の採択課題について

 問い合わせ先

広報課
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

該当するSDGs

  • SDGs03