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外場濃縮で発電菌を大量集積!環境浄化型微生物電池の実用化を目指す 本学と企業の三者共同研究がNEDO「若サポ・共同研究フェーズ」に採択

2023年7月5日

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大阪公立大学大学院 工学研究科の床波 志保准教授(兼LAC-SYS研究所 副所長)を研究代表者とする三者共同研究(共同研究者:東芝三菱電機産業システム株式会社(TMEIC)・大日本印刷株式会社(DNP))が、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)「官民による若手研究者発掘支援事業(若サポ)」共同研究フェーズに採択されました。

採択された「有用微生物の外場誘導濃縮がいばゆうどうのうしゅくによる革新的エネルギー・物質変換システムの創成」では、さまざまな有用微生物を生きたまま基板上に高密度に集積できる「外場濃縮」をコア技術として、脱炭素社会に向けた革新的な微生物電池システムの研究開発に取り組みます。

目的

独自の外場濃縮技術を用いて微生物を高密度集積し、環境浄化型微生物燃料電池・太陽電池の開発・実用化を目指す(図1)

背景

汚水処理にはさまざまな手法が使われていますが、大量の酸素や電力を消費することや、汚水処理後に発生する余剰汚泥の処理で多量の二酸化炭素を排出するという問題があります。そこで、環境に負荷をかけない汚水処理技術の開発が求められています。

概要

微生物の一種である“発電菌”は、有機物を分解する際に電子を発生させる性質があります。この性質を活かして、汚水中の有機物を分解しながら発電し、廃水処理を行うことが可能な「環境浄化型」微生物発電システムの構築を目指しています(図2)。

これまでの研究で、本学LAC-SYS研究所で独自開発してきた「外場誘導濃縮」技術を用いて、基板上に発電菌を生きたまま高密度集積することに成功しています。本共同研究では、システムの実用化に向けてURAセンターの支援の下で産学連携を加速し、廃水処理発電とCO2削減型発電を同時に達成してカーボンニュートラル実現へ貢献します。

※外場誘導濃縮…生体模倣型の基板に光を照射したり磁場などの外場を印加することで、有用微生物を生きたまま・高密度・大面積で集積する技術。

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図1 本研究課題のコンセプト

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図2 開発中の環境浄化型微生物発電システムの模型

関連情報

光で「生きたまま」微生物を高密度濃縮できるハニカム基板を開発―有用微生物の濃縮によるバイオマス利用技術の革新に期待―(大阪府立大学Webサイト)
NEDO官民による若手研究者発掘支援事業マッチングプラットフォームでのシーズ紹介(NEDO Webサイト)
NEDO官民による若手研究者発掘支援事業(若サポ)2022 年度ステージゲート審査の結果について(NEDO Webサイト)

問い合わせ先

大阪公立大学大学院 工学研究科
研究推進機構LAC-SYS研究所
准教授/副所長 床波 志保(とこなみ しほ)
TEL:072-254-9824
E-mail:tokonami[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

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