最新の研究成果

ヘリウム8原子核内で中性子同士に強い相関があることを発見!

2023年7月24日

  • 理学研究科
  • プレスリリース

ポイント

◇ヘリウム8原子核内においてヘリウム4の周りに2中性子の塊が2個存在することを明らかに。
◇弱結合の原子核において、2中性子をひとつの単位と考えることが4中性子相関を理解するポイントとなる。
◇陽子と中性子の数が釣り合っていない原子核の中性子形態に新たな知見。

概要

大阪公立大学大学院理学研究科の山口 雄紀大学院生(博士前期課程1年)、堀内 渉准教授、板垣 直之教授、市川 隆敏氏らの研究グループは、ヘリウム同位体であるヘリウム8(陽子数2、中性子数6)原子核内において、4中性子間の相関が強まる可能性に着目。多数の中性子配位を混合する大規模数値計算により量子力学の方程式を解いた結果、ヘリウム8は、「2中性子の塊が2個、ヘリウム4の周りに存在する」特殊な構造を持っていることを示し、その具体的配置を示しました(図)。

ヘリウム8のような陽子と中性子の数が釣り合っていない原子核は、天然には存在せず、星の中など宇宙環境における元素合成過程で大量に生成されると考えられています。本研究の結果は、今なお未知な点が多い中性子の結合形態について新たな示唆を与えるもので、私たちの身の回りにある元素の起源に対する理解を深めるものです。

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図:今回発見したヘリウム8原子核構造の模式図。2中性子の塊(2n)が2個、ヘリウム44He)の周りに存在する。
赤玉:陽子 青玉:中性子

本研究成果は、2023年7月18日に国際学術誌「Physical Review C (Letter)」にオンライン掲載されました。

原子核は通常、陽子と中性子で構成され、中性子だけからなる原子核は存在することができません。しかしながら、人工的に生成可能な短寿命原子核の中では、4中性子系が安定して存在するかもしれません。今後はさらに重い結合限界原子核の構造を調べ、特異な4中性子相関の普遍性を探っていきます。

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堀内 渉 准教授

 

掲載誌情報

【発表雑誌】Physical Review C (Letter)
【論 文 名】Dineutron-dineutron correlation in 8He
【著  者】Y. Yamaguchi, W. Horiuchi, T. Ichikawa and N. Itagaki
【掲載URL】https://doi.org/10.1103/PhysRevC.108.L011304

プレスリリース全文 (512.4KB)

資金情報

本研究はJSPS科研費18K03635、22H01214、22K03618の一部助成を受けたものです。数値計算は京都大学基礎物理学研究所の計算機施設(Yukawa-21)を用いて行われました。

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院 理学研究科
准教授:堀内 渉(ほりうち わたる)
TEL:06-6605-2639
E-mail:whoriuchi[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

広報課
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

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