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5年以内のフレイル発生リスクが40%低減! “要支援”高齢者の通所系サービス利用効果を実証

2023年7月27日

  • プレスリリース
  • 看護学研究科

ポイント

“要支援”の新規認定者に特化した調査を実施
通所系サービスの利用によりフレイル発生リスクが40%低減したことが明らかに
◇フレイルは健常状態に戻る可能性があり、適切な支援等が重要

概要

加齢により心身が老い衰えた状態であるフレイルは、健常な状態と介護が必要な状態の中間的な虚弱の状態を指します。急速な高齢化において、フレイルを予防し高齢者の自立的な生活を維持することは、社会全体の重要な課題です。

大阪公立大学看護学研究科 河野 あゆみ教授、吉行 紀子氏(2020年3月 大阪市立大学看護学研究科 後期博士課程修了)らの研究グループは、介護保険制度の要支援1や2に新規認定され、かつ非フレイルの高齢者655名を対象に、認定後5年間のフレイル発生と通所系サービスや訪問介護サービスの利用に関する調査を実施しました。その結果、通所系サービスの利用者は、非利用者に比べてフレイルの発生リスクが40%低減したことが明らかになりました。これは適切な支援・サービスの利用により、介護度の重度化予防が可能であることも示唆します。

本研究成果は、国際学術誌「The Journal of Post-Acute and Long-Term Care Medicine」に2023年7月10日オンライン掲載されました。

要介護認定を受けた高齢者の方が通所系サービスへの参加によってフレイルになりにくいことが医療・介護報酬の時系列分析からわかりました。この結果から要介護認定を受けた後でも、介護度の重度化予防のために、家に閉じこもらずに積極的に外に出向くことを推奨します。

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河野 あゆみ 教授

これまで十分には明らかではなかった介護ニーズが低い高齢者への予防的サービスの有用性として、通所系サービスの効果が示唆された貴重な知見です。また、診療報酬データに基づく指標でフレイルを測定した点もユニークです。本知見が今後の高齢者ケアに関わる研究や実践に役立つことを願います。

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吉行 紀子氏

掲載誌情報

【発表雑誌】

Journal of the American Medical Directors Association

The Journal of Post-Acute and Long-Term Care Medicine

【論文名】

Do Home-and Community-Based Services Delay Frailty Onset in Older Adults
With Low Care Needs?

【著者】

Noriko Yoshiyuki, Takuma Ishihara, Ayumi Kono, Naomi Fukushima, Takeshi Miura Mecon,
Katsunori Kaneko

【DOI】 https://doi.org/10.1016/j.jamda.2023.05.036

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研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院 看護研究科
地域包括ケア科学
教授:河野 あゆみ
TEL:06-6645-3540
E-mail:ayukono[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:田中
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

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