最新の研究成果

熱中症リスク予測アプリ「Heat-Health」を開発 高い精度で熱中症リスクを予測することに成功!

2023年7月31日

  • 現代システム科学研究科
  • 研究

研究概要

熱中症予防には十分な水分補給や適切な休息が必要であり、このような予防策はメディアや気象庁が発表する熱中症警戒アラートを通して啓発されています。しかし、環境条件や活動内容が異なれば、水分補給と休息の必要な量も異なるため、個々人が自身の熱中症リスクを正確に把握することは困難な状況です。
そこで、ヨージェフ・ステファン研究所(スロベニア共和国)のLeonidas G. Ioannou研究員とIgor B. Mekjavic教授、大阪公立大学大学院現代システム科学研究科 飛田 国人准教授らの研究グループは、環境条件と活動内容、身体情報を基に深部体温を予測し、熱中症を未然に防ぐためのスマートフォン用アプリケーション「Heat-Health」を開発しました。本研究では、37名を対象にさまざまな活動中の深部体温を計測し、Heat-Healthの予測データと比較することで、予測精度を検証しました。

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Heat-Healthの概要

その結果、WHOの指針で暑熱ストレスが高いとされる深部体温が38℃以上となった対象者では92.9%、深部体温が38℃未満の対象者では90.0%の精度で予測することに成功しました。本アプリケーションにより、パーソナライズされた熱中症リスクを正確に把握し、適切な予防策を取ることが可能となることで、熱中症予防に貢献することが期待されます。
本研究成果は、2023年7月25日、国際学術誌「Applied Sciences」に掲載されました。

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Heat-Healthの予測精度に関する検証結果

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Heat-Healthの使用画面

資金情報

 本研究はスロベニア共和国国防省(プロジェクトReMOS:4330-433/2019-3)の研究助成を受けて行われました。

掲載誌情報

【発表雑誌】Applied Sciences
【論 文 名】Novel technological advances to protect people who exercise or work in thermally stressful conditions: a transition to more personalized guidelines
【著  者】Leonidas G. Ioannou, Ursa Ciuha, Jason T. Fisher, Lydia Tsoutsoubi, Kunihito Tobita, Ana Bonell, James D. Cotter, Glen P. Kenny, Andreas D. Flouris, and Igor B. Mekjavic
【掲載URL】https://doi.org/10.3390/app13158561

飛田 国人准教授のコメント

本論文では運動や労働によって高い熱ストレスに曝されるリスクを予測するアプリ「Heat-Health」の精度を検証しました。本アプリは熱中症リスクを低減するための水分補給量や休息時間の提案機能も備えているので、今後は本アプリが示す低減策の有効性を示したいと考えています。本研究が熱中症予防啓発の一助になれば幸いです。

 

研究内容に関する問い合わせ先

現代システム科学研究科
准教授:飛田 国人(とびた くにひと)
E-mail:tobita[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

該当するSDGs

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