最新の研究成果

含有量は成熟ブロッコリーの約7倍! ブロッコリースプラウトに大量の超硫黄分子を発見

2023年9月22日

  • 理学研究科
  • プレスリリース

ポイント

◇ブロッコリースプラウトに超硫黄分子が大量に含まれていることを発見
◇超硫黄分子量は発芽5日目で種子の約20倍にも増加
◇ブロッコリースプラウトの健康促進効果に超硫黄分子が関与している可能性

概要

大阪公立大学大学院 理学研究科 笠松 真吾助教、居原 秀教授らの研究グループは、感染防御・免疫応答などさまざまな生命現象に重要な機能を果たしている超硫黄分子が、ブロッコリーの新芽(ブロッコリースプラウト)に豊富に存在していることを明らかにしました。超硫黄分子はがんや神経変性疾患、脳卒中、炎症などに対する新たな予防・治療薬としての可能性が期待されており、近年では新型コロナウイルスやインフルエンザウイルス感染症に対して感染防御能を有することも明らかにされています。
本研究チームは、ブロッコリースプラウトの発芽から成長する過程における超硫黄分子量を調査。成長するにつれて超硫黄分子量が劇的に増加することを発見しました。さらに、超硫黄分子を網羅的に解析したところ、分子構造が決定されていない全く未知の超硫黄分子候補が多数検出されました。これらの結果は、すでに世間で広く知られているブロッコリースプラウトの健康促進効果に、超硫黄分子が寄与している可能性を示唆しています。今後、未知である超硫黄分子の同定および、その薬理活性を詳細に解析することによって、がんや神経変性疾患、脳卒中、炎症などに対する新たな予防・治療薬・戦略の開発が可能であると期待されます。

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ブロッコリースプラウト

本研究成果は、2023年9月6日国際学術誌「Redox Biology」にオンライン掲載されました。

ブロッコリーの種から根が生え、伸びていく過程で超硫黄分子量が劇的に増加することは全くの偶然からの発見で、とても驚きました。今回の発見は、植物の発芽・成長の過程で超硫黄分子が重要である可能性を示唆しています。また、超硫黄分子の合成機構は、我々の身体の中にも保存されていることから、もしかすると哺乳動物細胞の分化、発生においても同様に超硫黄分子が重要な働きをしているかもしれません。

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笠松 真吾助教

 

掲載誌情報

【発表雑誌】Redox Biology
【論 文 名】Untargeted polysulfide omics analysis of alternations in polysulfide production during the germination of broccoli sprouts
【著  者】Shingo Kasamatsu, Takuma Owaki, Somei Komae, Ayaka Kinno, Tomoaki Ida, Takaaki Akaike, and Hideshi Ihara
【掲載URL】https://doi.org/10.1016/j.redox.2023.102875

プレスリリース全文 (712.5KB)

資金情報

本研究は、科学研究費助成事業の学術変革A(21H05258, 21H05263)、基盤研究S(18H05277)、基盤研究B(21H02082)、基盤研究C(22K06148)、挑戦的研究(20K21256, 22K19397)、科学技術振興機構のCREST(JPMJCR2024)、喫煙科学研究財団、不二たん白質研究振興財団とアサヒグループ学術振興財団、大阪公立大学 戦略的研究推進事業の支援を受けて実施されました。

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院 理学研究科
助教:笠松 真吾(かさまつ しんご)
TEL:072-254-9853
E-mail:kasamatsu[at]omu.ac.jp

※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

広報課
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

該当するSDGs

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