最新の研究成果

細胞治療による安価で有効な革新的血管新生療法の開発を目指して ~包括的高度慢性下肢虚血(CLTI)患者を対象とした自家末梢血単核細胞と移植用細胞足場Injectable cell scaffold (ICS-001)の併用による医師主導治験~

2023年11月9日

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兵庫医科大学(兵庫県西宮市、学長:鈴木 敬一郎)、大阪公立大学、近畿大学、株式会社ソフセラ、グンゼメディカル株式会社および神戸医療産業都市推進機構 医療イノベーション推進センター(TRI)は、国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(以下、「AMED」)橋渡し研究プログラム(橋渡し研究支援機関:国立大学法人岡山大学<以下「岡山大学拠点」>)の支援のもと、兵庫医科大学病院(病院長:阪上 雅史)において、「既存治療抵抗性の難治性潰瘍を有する包括的高度慢性下肢虚血(CLTI)患者を対象とした、自家末梢血単核細胞と移植用細胞足場ICS -001の併用による医師主導治験」を、本年8月に治験届を提出し、開始しました。

本治験では、予定症例6例により、ICSの臨床POCProof of Concept:概念実証)を取得します(First in humanでの安全性の確認、有効性の推定)。今後3年間の間に本探索的治験を終了し、今後の検証的治験を経て、既存治療抵抗性の難治性潰瘍を有する重症下肢虚血に対する血管新生療法としての製造販売承認の取得を目指します。

本治験のポイント

<課題と期待される有効性・効果>

◇これまでの血管新生を目的とした細胞治療の課題
既存の血行再建術(血管内治療やバイパス術)に抵抗性のCLTIにおいて、血管新生を目的とした、自己の骨髄や末梢血単核細胞の細胞移植が開発されてきたが、有効性が十分に示されていない。

◇細胞治療による血管新生効果の向上
ICSの併用により、移植細胞を虚血組織に留まらせ、血管新生効果を向上させる低侵襲治療を開発する。

◇低侵襲で有効な新規血管新生細胞治療の提供
低侵襲な自己末梢血単核細胞とICSを組み合わせ、既存治療抵抗性のCLTIに対する有効な血管新生細胞治療を提供する。

◇血管新生効果の高いCD34陽性細胞を多く含む自己末梢血単核細胞の使用
今回、ICSと併用する末梢血単核細胞は、血管新生効果を有するCD34陽性細胞を骨髄からより多く誘導するため、CD34陽性細胞などの造血幹細胞を末梢血に誘導する方法としてすでに臨床応用されている、G-CSF 製剤(フィルグラスチム[グラン®️])及びプレリキサホル(モゾビル®️ )を使用。

◇低コストな医療機器カテゴリーでの細胞治療開発
高額になりやすい再生医療等製品ではなく、ICSを医療機器として開発することで、安価な血管新生細胞治療が可能となる。

<強力な開発体制

多くの大学・開発企業の支援による兵庫医科大学病院における医師主導治験

細胞治療による血管新生療法に豊富な経験を有する神戸医療産業都市推進機構 医療イノベーション推進センター(TRI)による治験調整事務局

AMED橋渡し研究プログラム(岡山大学拠点)による強力な開発支援

本治験について

治験課題名】
難治性潰瘍を有するCLTI患者を対象とした自家末梢血単核細胞担持ICS-001 移植による血管新生療法の探索的試験

治験識別記号】
ICS-001

【対象患者および目的】
既存治療抵抗性の難治性潰瘍を有する包括的高度慢性下肢虚血(CLTI)患者(6例)に対して、G-CSF 製剤(フィルグラスチム[グラン®️])及びプレリキサホル(モゾビル®️ )併用下にアフェレーシスにて採取した造血幹細胞(CD34 陽性細胞)を多く含む自家末梢血単核細胞を担持させたICS-001 移植による血管新生療法の安全性の確認を主目的とする。

【実施体制】

  • 治験実施医療機関及び自ら治験を実施する者(治験責任医師)
    兵庫医科大学病院 血液内科 山原 研一
  • 治験調整事務局
    公益財団法人神戸医療産業都市推進機構 医療イノベーション推進センター(TRI
  • 治験機器提供者
    株式会社ソフセラ
  • モニタリング・監査
    岡山大学病院 新医療研究開発センター
  • 治験機器評価
    大阪公立大学、近畿大学、グンゼメディカル株式会社
  • 統計解析・データマネジメント
    公益財団法人神戸医療産業都市推進機構 医療イノベーション推進センター(TRI

プレスリリース全文 (606.1KB)

参考図

医療機器カテゴリーでの重症下肢虚血に対する細胞治療

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◇本研究の実施体制

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※本学における共同研究開発者:医学研究科 先端予防医療学 准教授 福本 真也

関連特許

特許第 5725489号
・発明の名称: 医療用組成物およびキット
・特許権者: 大阪公立大学、国立循環器病研究センター

特許第 5463504号
・発明の名称: 非球形微粒子および非球形微粒子の製造方法
・特許権者: 国立循環器病研究センター、グンゼ株式会社、株式会社ソフセラ

お問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
電話:06-6605-3411 FAX:06-6605-3572 
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。



該当するSDGs

  • SDGs03
  • SDGs17