最新の研究成果

フラボノイドの体内代謝メカニズムを明らかに

2023年12月4日

  • 生活科学研究科
  • プレスリリース

ポイント

◇ガンや心臓疾患などの治療・予防に効果を有するフェノール化合物フラボノイド類の、体内代謝メカニズムを分子レベルで明らかに。
◇フラボノイド類の機能性食品としての有用性を、より高めるための手法開発に期待。

概要

植物が二次代謝物として生成するフェノール化合物のフラボノイド類は、ガンや心臓疾患などの治療や予防効果があると言われていますが、身体の中での代謝プロセスは未だ不明な部分が残されています。

大阪公立大学大学院生活科学研究科 竹中 重雄教授らの日米韓国際研究グループは、主要なフラボノイドであるナリンゲニン、アピゲニンとゲニステインが体内で代謝される過程と、その分子機構を明らかにしました。さらに本研究によって明らかになった分子機構は、分子ドッキングシミュレーションから植物と類似した結合様式であることを明らかにしました。本研究成果は、フラボノイド類の体内代謝と生理活性の相関を解明するための重要な基礎的知見であると考えられます。

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図:ナリンゲニン、アピゲニンとゲニステインの化学構造式とそれを含む代表的な食品の例。


本研究成果は2023年10月2日、国際学術誌「Chemical Research in Toxicology」にオンライン掲載されました。


食品や医薬品は生体外から入ってくる化学物質であり、それらが身体の中で機能する仕組み、さらには安全な形に代謝・排出される仕組みを明らかにすることは、毒性学、薬学、栄養学、医学などの多岐にわたる分野において必要とされる重要な課題です。さまざまな機能性食品成分が注目されていますが、それらの代謝を研究し、人々の健康に役立てたいと考えています。

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(左)島田 力客員研究員
(右)竹中 重雄教授

 

掲載誌情報

【発表雑誌】Chemical Research in Toxicology
【論 文 名】Oxidation of Naringenin, Apigenin, and Genistein by Human Family 1 Cytochrome P450 Enzymes and Comparison of Interaction of Apigenin with Human P450 1B1.1 and Scutellaria P450 82D.1
【著  者】Haruna Nagayoshi, Norie Murayama, Vitchan Kim, Donghak Kim, Shigeo Takenaka, Hiroshi Yamazaki, F. Peter Guengerich, and Tsutomu Shimada
【掲載URL】https://doi.org/10.1021/acs.chemrestox.3c00229

プレスリリース全文 (505KB)

資金情報

以下の研究資金によって,研究の一部が支援されました。
科学研究費[18K11662] (H.N.), [23K06217] (H.Y.), [21K11649] (S.T.), National Research Foundation of Korea [NRF-2019R1A2C1004722] (D.K.), United States Public Health Service [R01 GM118122] (F.P.G.).

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院 生活科学研究科
教授:竹中 重雄(たけなか しげお)
TEL:072-950-2851
E-mail:takenaka[at]omu.ac.jp

※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

広報課
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

該当するSDGs

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