最新の研究成果

国内初! 生徒と保護者を対象にした『聞き取り困難症』に関する大規模調査

2023年12月12日

  • 医学研究科

聞こえているのに聞き取れない、聞き間違いが多いなど、聞こえた音声を理解することが困難な『聞き取り困難症』。LiD(Listening difficulties)と呼ばれ、小児から成人まで多くの人が日常生活で困難を感じていると言われます。

大阪公立大学大学院医学研究科 耳鼻咽喉病態学の阪本 浩一准教授らの研究グループは、6歳から18歳の小中高生743人とその保護者を対象に、LiDを評価する質問紙調査を国内で初めて行いました。

調査の結果、児童生徒のLiDの症状を自覚するスコアは高学年になるにつれ増加することが分かりました。特に、「え?」「なに?」などと聞き返すことが多かったり、騒々しい場所では話し手に注意を向けることが難しい『聴覚的注意』におけるスコアの増加が最も大きいことが明らかになりました。一方で、保護者は児童生徒のLiDの症状を過少に評価する傾向にあり、両者の間には乖離があることも明らかになりました。

LiDは聴力検査では異常がないため周囲から気づかれにくく、聞こえているが聞き取れていないため、コミュニケーションに問題が生じるケースもあり、LiDに対する理解や配慮は必要不可欠です。しかし、LiDを専門とする検査・診療を行っている病院は全国でも少なく、診断の環境も十分に整っていないのが現状です。

本研究成果は、LiDに対する児童生徒とその保護者の認識の乖離を明らかにするだけでなく、LiDの早期発見や児童生徒の学習・言語習得に対する対策をとる一歩となります。本研究チームは、今後もLiDの診断および支援に関する研究を進めていきます。

本研究成果は、2023年11月30日に、国際学術誌「International Journal of Pediatric Otorhinolaryngology」にオンライン掲載されました。

 



聞き取り困難に悩む当事者の方のために、診断と支援のための手引きの制作を大阪公立大を中心とする研究班で行なっています。大阪初のエビデンスが作れるように努力しています。

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阪本 浩一准教授

 

掲載誌情報

【発表雑誌】International Journal of Pediatric Otorhinolaryngology
【論 文 名】Survey of students and guardians for assessing the early detection of auditory processing disorder and listening difficulties in school-age students
【著  者】Hirokazu Sakamoto, Tomoe Sekido, Naomasa Sakamoto, Chie Obuchi, Hisako Yoshida, Ayumi Shintani
【掲載URL】https://doi.org/10.1016/j.ijporl.2023.111812

参考

https://apd.amed365.jp/index.shtml

研究内容に関する問い合わせ先

医学研究科 耳鼻咽喉病態学
准教授:阪本 浩一(さかもと ひろかず)
E-mail:hsakamoto38 [at] gmail.com

※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

広報課
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

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