最新の研究成果

歩行に重要な“足首を素早く動かす能力” 加齢と性別による能力の変化を検証

2024年2月28日

  • リハビリテーション学研究科
  • プレスリリース

ポイント

◇歩行に重要な要素として足関節底屈運動速度(足首を素早く動かす能力)が注目されている。
◇加齢とともに底屈運動速度は約26%低下するが、男女間では差がないことが明らかに。
◇運動速度は、加齢だけでなく男女間でも差がある筋力とは別の指標として考える必要がある。 

概要

人の歩行には足関節底屈筋力が重要な要素であることが知られていますが、歩くスピードに影響する要素として、足関節底屈運動速度が近年注目されています。

大阪公立大学大学院 リハビリテーション学研究科の金山 篤樹大学院生(大阪府立大学大学院 総合リハビリテーション学研究科 博士後期課程3年)、岩田 晃教授らの研究グループは、加齢と性別による底屈運動速度の変化を検証するため、18~91歳までの550名を対象に底屈運動速度の計測を行いました。その結果、加齢に伴い底屈運動速度は約26%低下するものの、男女間ではその能力に差がないことが分かりました。底屈筋力は加齢とともに減少することに加え、男女間でも差があることから、筋力と運動速度は別の指標として考える必要があり、高齢者の歩行機能を向上させるためのリハビリテーションにおいて、筋力とは異なる戦略で運動速度のトレーニングを行う必要性を示しています。

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本研究成果は、2023年12月22日に、国際学術誌「Scientific Reports」にオンライン掲載されました。

我々の研究グループでは、高齢者が健康で豊かな日常生活を送るために必要となる「歩行機能の維持・向上」を目指した研究に取り組んでいます。本研究のテーマである「運動速度」という機能に着目することで、高齢者でも楽しく安全に取り組める新たなトレーニング方法の確立を目指しています。

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岩田教授、金山大学院生

掲載誌情報

【発表雑誌】Scientific Reports
【論文名】Age-related changes and sex differences in ankle plantarflexion velocity
【著者】Atsuki Kanayama, Saki Yamamoto, Ryoga Ueba, Mio Kobayashi, Toshimitsu Ohmine & Akira Iwata
【掲載URL】https://doi.org/10.1038/s41598-023-50275-1

資金情報

本研究は、JSPS科研費(JP20K11162)およびJST 科学技術イノベーション創出に向けた大学フェローシップ創設事業(JPMJFS2138)の支援を受けて行いました。

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院 リハビリテーション学研究科
教授 岩田 晃(いわた あきら)
TEL:072-950-2111
E-mail:iwata[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:竹内
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

該当するSDGs

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