最新の研究成果

脳波測定で明らかに! サッカーにおけるパスを「出さない」判断の重要性

2024年3月21日

  • 研究推進機構
  • プレスリリース

ポイント

◇サッカー選手の状況判断時における「反応(パスを出す)」だけではなく、「反応しない(パスを出さない)」ことに対する脳内情報処理活動を調査。
◇パス選択の場面で速く安定した反応をするためには、より強い反応を抑制する神経活動が必要。
◇サッカー選手のパフォーマンス向上には、反応抑制が重要な役割を担っていることを示唆。

概要

大阪公立大学 都市健康スポーツ・研究センター 松竹 貴大助教らの研究グループは、21人の男子大学生(高スキル群:7人、低スキル群:7人、未経験者7人)を対象に、サッカーにおけるパス選択場面を画像で提示し、反応にかかった時間と、パスを出す/出さないと判断した場面それぞれの脳波を測定しました。その結果、高スキル群の選手は、他の群に比べて速く安定した反応を示しただけでなく、パス選択を判断する時に、反応抑制(パスを出さない)処理に関わる神経活動が強く働いていたことが示されました。

つまり本研究結果より、サッカー選手が速く安定した反応をするためには、パスを出さないと判断する脳の働きも重要であることが明らかになりました。サッカー選手の知覚・認知・行動の理解は、競技力向上のために重要な課題ですが、今後「反応抑制」にも着目してトレーニングをデザインすることが有用であると考えられます。

本研究成果は、国際学術誌「Brain Sciences」に 2024 年 2 月 22 日にオンライン掲載されました。


press_0213_1図:本研究の測定時イメージと事象関連電位(Event-related potentials: ERPs)について



「Less Time, Less Space」と形容されるように、ボールを持つ選手が使える時間と場所が限られてきた現代のサッカー。脳がどのような働きをしているかは多くの選手、指導者が興味を持っています。今後は研究成果を発展させ、効果的なトレーニング方法の構築だけではなく、サッカーの魅力を科学の視点からも伝えることに貢献したいと思っています。

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松竹 貴大助教

掲載誌情報

【雑誌名】Brain Sciences
【論文名】Fast and stable responses during decision-making require strong inhibitory processes in soccer players
【著者】Takahiro Matsutake, Hiroki Nakata, Genta Matsuo, Takayuki Natsuhara, Kisho Zippo, Kouki Watanabe, Takayuki Sugo
【掲載URL】https://doi.org/10.3390/brainsci14030199

プレスリリース全文(626.5KB)

資金情報

本研究は、日本学術振興会科研費 若手研究22K17725の助成を受けました。

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学 都市健康・スポーツ研究センター
助教:松竹 貴大(まつたけ たかひろ)
TEL:06-6605-2956
E-mail:matsutake[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
TEL06-6605-3411
E-mailkoho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

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