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国際基幹教育機構 桑原 希世子准教授らの論文が「Revue de Micropaléontologie」誌の表紙に採択

2025年5月28日

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国際基幹教育機構の桑原 希世子准教授らの研究グループの論文「Late Permian radiolarian Neoalbaillella caridroiti assemblage from the Loufanggou, Guangyuan-Shangsi area, Sichuan Province, China」が、2024520日にElsevierが刊行する国際学術誌「Revue de Micropaléontologie」にオンライン掲載され、202412月号(Volume 85)の表紙を飾りました。

桑原准教授は放散虫化石の研究に長年取り組んでおり、放散虫化石に基づいて地層の年代やその時代の環境を復元することを目指しています。放散虫は海棲プランクトンで、5億年前から現在まで生息しており、多くの種類が知られています。その形は実に多様で生物の造形の美しさを体現するものです。放散虫はガラスの骨格をもつことから化石になりやすく、また、生息時期によって骨格形態が異なるため示準化石として重要です。1980年代には日本列島の地質の生い立ちが放散虫化石の示す年代によって大きく書き換わり、「放散虫革命」と呼ばれました。放散虫化石の環境を示す示相化石としての役割にも注目されています。桑原准教授は日本と中国の地層から産する約2億5200万年前のペルム紀放散虫化石を比較研究し、学術雑誌に報告してきました。

表紙の写真は、桑原准教授が発見した新種の放散虫Neoalbaillella caridroitiの走査型電子顕微鏡の画像です。新種名は、古生代放散虫の専門家で、1980年代に大阪市立大学で西南日本の地質を研究していた故Martial Caridroit教授に献名されました。

本論文は、中国四川省に分布するペルム系大隆層から見出された放散虫化石群集を報告し、その年代や堆積環境を論じています。放散虫化石群集は保存良好で種の多様性は低く、スポンジ殻の球状放散虫を主とします。その中の限られた層準にネオアルバイレラ属の新種Neoalbaillella caridroitiを含んでおり、Neoalbaillella caridroiti群集と名付けられました。Neoalbaillella caridroiti群集はこれまで四川省北部からしか見つかっておらず、地域的に限られた分布をもつ種群であった可能性があります。また、スポンジ殻の球状放散虫が多いことから大隆層が比較的浅海環境で形成されたこと、Neoalbaillella caridroiti群集の産出層準は前後の時代よりも水深が深くなったことが推定されます。

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掲載誌情報

【発表雑誌】Revue de Micropaléontologie
【論文名】Late Permian radiolarian Neoalbaillella caridroiti assemblage from the Loufanggou, Guangyuan-Shangsi area, Sichuan Province, China
【著者】Kiyoko Kuwahara, Akira Yao, Jianxin Yao
【論文URLhttps://doi.org/10.1016/j.revmic.2024.100784
【表紙】https://www.sciencedirect.com/journal/revue-de-micropaleontologie/vol/85/suppl/C

関連情報

大阪公立大学大学院理学研究科 地球学科地球史研究室Webサイト

問い合わせ先

大阪公立大学国際基幹教育機構
准教授 桑原 希世子(くわはら きよこ)
TEL072-254-9774
E-mailkuwahara[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

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