最新の研究成果

地域住民主体の健康活動の場『通いの場』が要支援高齢者の要介護発生リスクを抑制

2025年5月13日

  • リハビリテーション学研究科
  • プレスリリース

65歳以上の高齢者が人口の29.3%を占める日本において、健康寿命延伸の取組みとして、高齢者をはじめとした地域住民が主体となって介護予防やフレイル対策を目的とした活動を行う『通いの場』が注目されています。『通いの場』は97.6%の自治体で導入されており、身体を動かすだけでなく、人との交流による社会的な繋がりを得ることができます。要支援・介護の認定のない自立高齢者では、『通いの場』への参加が要介護発生のリスクを下げることが知られています。しかし、すでに要介護状態になるリスクの高い要支援高齢者でも、専門家による手厚い介入が少ない『通いの場』によって同様の効果が得られるのかは明らかになっていませんでした。

大阪公立大学大学院リハビリテーション学研究科の上村 一貴准教授らの研究グループは、羽曳野市が2020年1月時点で要介護認定のない高齢者3,511人(要支援を含む)を対象に実施した健康状態や社会参加の状況を調査するアンケート結果と介護保険データを用い、4年間の要介護(1以上)認定・死亡の有無を追跡し分析しました。その結果、ハイリスク層である要支援高齢者でも、『通いの場』への参加が要介護・死亡のリスク抑制につながることが明らかになりました。本研究成果は、要支援者を含む幅広い層における『通いの場』の有効性を示すものであり、その知見を広く周知することで住民の参加を促進し、地域全体の健康寿命延伸に貢献することが期待されます。

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本研究成果は、2025年5月9日に国際学術誌「Preventive Medicine」のオンライン速報版に掲載されました。

「羽曳野市の取り組みの成果を可視化したい」というニーズと、我々の研究がマッチし、社会的・学術的意義のある研究成果につながりました。

今後も連携を深め、EBPM(エビデンスに基づく政策立案)に資する研究を進めてまいります。

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上村 一貴准教授

掲載誌情報

【発表雑誌】Preventive Medicine
【論文名】Participation in community gathering places and loss of independence among older adults with and without mild disability in Habikino City, Japan: A four-year longitudinal study
【著者】Kazuki Uemura, Tsukasa Kamitani, Koutatsu Nagai, Tetsuya Ueda, Masafumi Kuzuya, and Minoru Yamada
【掲載URL】https://doi.org/10.1016/j.ypmed.2025.108294

資金情報

本研究は、羽曳野市からの受託研究(J231000599)からの支援を受けて行われました。

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院リハビリテーション学研究科
准教授 上村 一貴(うえむら かずき)
TEL:072-950-2111
E-mail:kuemura[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:竹内
TEL:06-6967-1834
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

該当するSDGs

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