最新の研究成果

AIが脂肪肝を推定 -胸部レントゲン画像を使用した高精度モデルを開発-

2025年6月24日

  • 医学研究科
  • プレスリリース

ポイント

◇胸部レントゲン画像とフィブロスキャン1検査データ(CAP値)を用いて、脂肪肝の有無を判定するAIモデルを開発
◇AIモデルが高い精度で胸部レントゲン画像から脂肪肝を判別
◇手軽な脂肪肝スクリーニング法として今後の実用化に期待

概要

通常、脂肪肝の診断には、超音波やCT、MRIなど専門的な装置を用いた検査が必要ですが、大阪公立大学大学院医学研究科肝胆膵病態内科学の打田 佐和子准教授と、人工知能学の植田 大樹准教授らの研究グループは、胸部レントゲン画像から脂肪肝の有無を判定できるAIモデルを開発しました。

この研究では、4,414人分の患者データを含む6,599枚の胸部レントゲン画像と、CAP値を活用してAIモデルを開発し、精度を検証しました。その結果、本AIモデルは高い精度(AUC2=0.82~0.83)を示しました。

入手しやすく比較的安価な胸部レントゲン画像を用いた診断法の開発は、医療資源が限られた環境における脂肪肝の検出へのアクセス向上につながる可能性があり、今後の実用化が期待されます。

本研究成果は、6月20日に国際学術誌「Radiology: Cardiothoracic Imaging」にオンライン掲載されました。

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図:胸部レントゲン画像におけるAIの判断根拠の可視化

胸部レントゲン画像から脂肪肝の有無を高精度に判定できるAIモデルを開発しました。肝臓病は初期症状がほとんどなく、早期に発見することは難しいといわれています。今後は本モデルのさらなる検証を進めて臨床応用し、肝臓病の早期発見・早期治療に繋げたいと考えています。

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打田 佐和子准教授


掲載誌情報

【発表雑誌】Radiology: Cardiothoracic Imaging
【論 文 名】Performance of a Chest Radiograph-based Deep Learning Model for Detecting Hepatis steatosis
【著  者】Daiju Ueda, Sawako Uchida-Kobayashi, Akira Yamamoto, Shannon L. Walston, Hiroyuki Motoyama, Hideki Fujii, Toshio Watanabe, Yukio Miki, MD, Norifumi Kawada
【掲載URL】https://doi.org/10.1148/ryct.240402

用語解説

※1 フィブロスキャン:肝臓に超音波を当てて肝臓の硬さや脂肪沈着の程度を測定する非侵襲的な方法。
※2 AUC (Area under the curve):AI モデルの能力を示す評価指標。0〜1 の値を取り、1に近づくほど良い。

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院医学研究科
准教授 打田 佐和子(うちだ さわこ)
TEL:06-6645-3905
E-mail:sawako[at]omu.ac.jp

※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:久保
TEL:06-6967-1834
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp

※[at]を@に変更してください。

該当するSDGs

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