最新の研究成果

~ヘルスケアアプリでヘルシーニュータウンへ~歩いて貯めたポイントで電車に乗れる新機能はユーザーの歩数を増加

2025年7月30日

  • 生活科学研究科
  • プレスリリース

概要

日本には、歩くことでポイントを貯められるモバイルヘルスケアアプリ(mHealth app)が多数存在します。その中で、南海電気鉄道株式会社と株式会社NSDが開発した「へるすまーと泉北1」は、泉北ニュータウン地域の住民および来街者を対象とした、歩いて貯めたポイントを電車の運賃などに交換することができるmHealth appです。

大阪公立大学大学院生活科学研究科都市科学研究室の加登 遼講師は、「へるすまーと泉北」の効果検証を行いました。その結果、「へるすまーと泉北」で、歩いて貯めたポイントをデジタルきっぷに交換する機能が、ユーザーの1日あたりの歩数を約626歩増加させたことを明らかにしました。この効果は、「へるすまーと泉北」が、泉北ニュータウンをヘルシーニュータウン2へ、リ・デザインするための有効なツールであることを示しました。

本研究成果は、2025年7月7日に国際学術誌「Journal of Transport and Health」に掲載されました。

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大阪府堺市の泉北ニュータウンは、高齢化率が約37%に達しており、急速な高齢化を迎えています。その人口構成比は、日本の10年先の将来を示すと考えられており、泉北ニュータウンを対象に、産学官民連携による社会実験が進められています。その中で「へるすまーと泉北」は、実証実験から実装へ移行しており、住民の生活に欠かせないmHealth appとなっています。

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加登 遼講師

掲載誌情報

【発表雑誌】Journal of Transport and Health
【論文名】Active travel effects of mHealth app that exchanges daily walking steps for digital train tickets: quasi-experimental study using HealthSmart-Senboku
【著者】Haruka Kato
【掲載URL】https://doi.org/10.1016/j.jth.2025.102126

資金情報

本研究は、JSPS科研費(24K17421)、JST COI-Next(住民と育む知的インフラ共創拠点JPMJPF2115)の支援を受けて実施しました。

用語解説

※1 へるすまーと泉北:泉北ニュータウン地域の住民および来街者を対象に、運動及び計測の習慣づくりを行うことで生活習慣病等の予防と行動変容を促すスマートフォンアプリ。歩数に応じて貯まったポイントを、泉北ニュータウン地域の飲食店や南海泉北線のデジタルきっぷ、南海バス割引券などに交換できることや、日々のポイントランキングの更新により、ユーザーの健康に対するモチベーション向上に繋げる。

※2 ヘルシーニュータウン:急速な高齢化が進むオールドニュータウンにおいて、住民が自宅や地域で健康的に暮らし続けられるよう、都市環境の再整備や健康増進を目的とした活動を通じて、持続可能なまちづくりを目指すコンセプト。イギリスでは、2015年以降、国民保健サービス(NHS)が中心となって「Healthy New Towns」プロジェクトを推進しており、ICTを活用した健康支援や都市環境整備など、世界的にも先進的な取り組みが行われている。日本のオールドニュータウンでも、地域の特性を踏まえた新たな取り組みが自発的に広がりつつある。

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院生活科学研究科
講師 加登 遼(かとう はるか)
E-mail:haruka-kato[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:久保
TEL:06-6967-1834
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

該当するSDGs

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